昨秋は4年ぶりの都大会進出。
池袋のど真ん中から目指す甲子園
立教池袋は2020年度に創立20年の節目を迎える。
創立とともに誕生した野球部もメモリアルイヤーとなるが、主役が選手であることは創部以来、変わっていない。
(取材・伊藤寿学)
■ 変わらないチーム理念
立教池袋の創立は2000年。
立教中が中高一貫校となり「立教池袋」が誕生。
それまでの立教高(埼玉県)は「立教新座」となった。
高校創立とともに誕生した立教池袋野球部は2020年度、創部20年の節目を迎える。
立ち上げからチームを率いる古賀賢之監督は「毎年、それぞれの学年の選手たちがどうやったら成長できるかを考えてここまできたので、20年という実感はあまりない。
ただ、何もない状態でスタートした中で、支援してくれた方々には感謝しかありません」と語る。
創部当初、池袋駅前の丸井(当時はスポーツ館)に生徒たちと一緒にボールを買いに出かけ、立教新座からボールやバットをもらい、初練習を実施したという。
立教学院の伝統はあるが、この立教池袋野球部の歴史は選手たちと共に創り上げてきた。
この20年間で時代、環境は変化したが、「選手が主役」という指揮官の理念は変わっていない。
■ スペースと時間の組み合わせ
主な練習場所は、池袋駅から徒歩約10分の学校校庭。
都心の一等地に人工芝グラウンドを持つが、中高部活動の共用のため使える時間は限られる。
選手たちは、人工芝グラウンド、校舎5階の室内打撃ケージ、室内体育館、トレーニングルームの4つのスペースと時間を組み合わせて、メニューをこなしていく。
監督の指示は最低限。
部員たちを見守る古賀監督は「選手たちは時間と場所をうまく使って練習をしている。
限られた場所と考えるのではなく、ここで何ができるかを考えてほしい」と、自主性を促す。
選手たちは、野球部員の一員である前に、学院の一員。
学校生活を土台として、文武両道の精神で野球に打ち込む。
清野遼太朗主将(2年)は「部員全員でコミュニケーションを取りながら練習を盛り上げていけるのがチームの特長。
伝統にふさわしいチーム、選手にならなければいけないと思う」と話す。
■ 『1』の重要性
現チームは2年生10人、1年生15人の体制。
昨秋大会は1次予選で田無工、桜丘を下して4年ぶりに都大会へ進出した。
本大会初戦で錦城学園と対戦したチームは序盤に3点リードを許したものの、4回に清野遼太朗主将(2年=内野手)の2点タイムリーなどで3点を奪い同点に追いついてみせる。
反撃のムードが漂ったが、終わってみれば3対9の敗戦となった。
1年生左腕の吉川大輝は「自分がゲームを作れずに迷惑をかけてしまった」と話せば、奥平陽也(2年=内野手)は「打撃でピッチャーを援護できなかった」と悔やむ。
秋都大会は初戦敗退となったが、清野主将、打撃の核・佐野太洋(2年=外野手)を軸としたチームは、さらに進化する余地を残している。
古賀監督は「高校野球は、1プレーで勝敗が分かれる。
春・夏へ向けて『1歩』『1球』『1打席』の大切さを理解しなければいけない」と『1』の重要性を説く。
クリーンアップに座る佐野は「1打席に集中して、チャンスでチームの勝利に貢献できる打撃をみせたい」と、春・夏に照準を合わせる。
秋の本戦出場によって春大会は都大会からの戦いが待つ。
「都大会初戦は難しい戦いとなる。
春に勝ち上がるためにみんなで努力していく」(清野主将)。
創部20年目となる令和2年、立教池袋は新たな歴史をトーナメントに刻む。
(写真左から)
佐野太洋(2年)1年時から出場している主砲
奥平陽也(2年)打撃力をメキメキあげる強打者
清野遼太朗主将(2年)走攻守3拍子揃った内野手
吉川大輝(1年)緩急自在の1年生左腕エース
立教池袋高等学校
【学校紹介】
住 所:東京都豊島区西池袋5-16-5
創 立:2000年(立教尋常中は1896年)
甲子園:なし
2000年創立の高校。
立教小・中が池袋にあり、立教高が新座(埼玉県)に校舎を置いていたが、2000年に立教新座(埼玉)と立教池袋(東京)が開校し現在に至る。
硬式野球部は開校と同時に創部。
池袋の学校敷地内で練習に励む。