夏2年連続4強入りも秋は初戦敗退。
指揮官が示す「チーム再生のルート」
昨夏の県大会でベスト4へ進出した関東学園大附。
夏2年連続4強入りを果たしたチームだが新チーム初陣の昨秋はまさかの初戦
敗退。
再起をかけるチームは「再生」の道を探っている。
■ 昨夏は準決勝で前橋商に惜敗
昨年の夏は、甲子園が確かに見えていた。
準々決勝で高崎商大附を下して4強入りを決めると準決勝では、プロ注目左腕・井上温大(巨人入団)擁する前橋商と対戦した。
互いの意地と力でぶつかる好ゲームの中で、関東学園大附は8回表を終えて2対0とリード。
しかし、その裏に同点に追いつかれると、ゲームは延長戦へ突入した。
勝機は十分にあった。
だが一進一退の攻防の状況下、延長12回裏にサヨナラ負けを喫した。
甲子園まであと2つ。
行く手を阻まれた3年生たちは、甲子園へのタスキを後輩たちに託した。
■ 秋大会は初戦で完敗
士気高く始動した新チームだったが、昨秋大会で屈辱を味わった。
1回戦の館林商工戦で0対7の完敗。
初回に本塁打を浴びると、攻守の主導権を奪い返すことができずに大会を去ることになった。
齋藤大輝主将(2年)は「秋は何もできずに終わってしまった。
自分たちの力がないことを教えられた。
今のままでは勝てないので意識を変えなければいけないと感じた」と話す。
2年連続4強は、先輩たちの結果。
自分たちは何も成し遂げていない。
チームは初心に戻り、練習に取り組んだ。
■ 今年のチームの武器は「投手力」
高校野球は1年間の戦い。
能力が高い世代もあるが、力が落ちる世代も当然ある。
それでも大会はやってくる。
23歳からチームを指揮し今年就任9年目となる若き知将・羽鳥逹郎監督は、現チームのチーム力を打撃力、投手力、守備力、走力、パワー、精神力…など、いくつかの項目に分けて冷静に分析。
現チームの武器を把握した上で、今年の選手たちに適した練習、戦術を施している。
今年のチームの武器は「投手力」。
ブルペンは、小林健斗、西濱勇星の2年生の本格派右腕に加えて、 2年生左腕・中山広紀、1年生・篠原正紀、石原勇斗らが切磋琢磨し、秋以降に力を伸ばす。
羽鳥監督は「投手陣をベースに、肉付けをしていく。
夏の最終形をイメージして、逆算してチームを作っていく」と立て直しを図る。
指揮官がどんなチームに仕上げるか興味深い。
■ 夏までに何ができるか
チームは秋大会後の練習試合で、県外の私学強豪を立て続けに撃破するなど投手力をベースに力を伸ばしている。
今年のチームは2年生10人、1年生17人で、新井蓮(内野手)ら多くの1年生がポジション争いに加わってきている。
指揮官は「春からは学年に捉われず、実力で選手を決めていく」と、年功序列撤廃を示唆。
この刺激がチームに変化を与えている。
齋藤主将は「個人の力がない分、学年関係なく競争して、チームで戦う必要がある。
先輩たち3年生はチームとして一つになっていた。
僕たちも一つにならなければいけない」と球春を待つ。
羽鳥監督は「いまの時点の力は大きな問題ではない。
夏までに何ができるかが大切。
技術も重要だが『野球力』『実戦力』『準備力』で劣っていたら格上には勝てない。
上手くなくても勝つ方法はある。
選手たちは自分たちで勝つ方法を見つけてほしい」と語る。
練習場のベンチにはこんな言葉が書かれている。
「下馬評を覆せ」。
このミッションを成し遂げるには、選手の強い意志が必要だ。
【監督プロフィール】羽鳥逹郎監督
1988年埼玉県生まれ。
伊奈学園総合-早大。
早大卒業後の2012年秋に、関東学園大附監督に就任。
2017年秋、2018年春準優勝で関東大会出場。
2018年夏。
2019年夏ベスト4。
関東学園大学附属高等学校
【学校紹介】
住 所:群馬県館林市大谷町625
創 立:1958年
甲子園:春1回
館林市郊外にある私立校。
野球部は1986年に選抜出場。
2017秋、2018年春関東大会出場。
OBに、楽天・岡島豪郎、女子競泳・ロンドン、リオ五輪出場の内田美希。