【桐生南 野球部】「ファイナリスト」

今年度末で桐生西と統合し「桐生清桜」へ。

「桐生南」として戦う最後の夏

桐生南は2021年3月末(今年度末)で桐生西と統合となる。

桐生南として戦うことができるのは、この夏までだ。

チームは「ファイナリスト」をスローガンに掲げて、群馬県制覇を目指す。

2020年8月号掲載

■ 最後の夏に懸けた初甲子園

こんな夏になるとはだれが予想しただろうか。

桐生南は2021年3月末(今年度末)で桐生西と統合することが決定している。

校舎は、桐生西を利用し、学校名は「桐生清桜」となる。

2020年夏は、「桐生南」として戦うことができる最後の夏。

OB指揮官である石井洋之監督は、最後の夏で悲願の甲子園出場を果たすべく、準備を進めてきた。

いまの3年生は、桐生南最後の世代となるという使命を託されて入学してきた選手たち。

昨秋の新チーム発足以降、チームは「ファイナリスト」という言葉をスローガンに掲げて、努力してきた。

桐生南の選手としてのファイナル、そして初の決勝(ファイナル)進出、最後の代で初甲子園。

「ファイナリスト」には多くの思いが込められていた。

■ 「一歩の予測」にチャレンジ

坂口竜也主将は(3年=捕手)は「高校1年生のときはそんなに意識はしていませんでしたが、学年が上がるにつれて最後の代という自覚が出てきました」と話す。

ラストサマーでの甲子園出場に向けて、チームは新たな方向性を打ち出した。

守備時に、ピッチャーの球種、コースに合わせて、打球方向を予測。

チームとして大胆にポジションを動かして、打球を網にかける。

リスクも伴う高度な戦いだが、石井監督は、選手たちとともに「一歩の予測」にチャレンジ。

選手たちはワンプレーごとに、守備ポジションを確認、チームとして新たな境地がみえてきていた。

手応えをつかんだチームは3月のオープン戦開幕から新システムの実戦テストを積むはずだったが、球春到来を前にコロナ禍が高校野球界を襲った。

■ 遥かなる甲子園

選手たちは希望に懸けたが甲子園は中止になった。

伊藤将也(3年=内野手)は「自分は、桐生南の最後の選手として戦いたいと思って、このチームを選びました。だから、甲子園大会中止が決まったときはショックで言葉が出ませんでした」と心境を打ち明ける。

大田卓弥(3年=外野手)は「最高の仲間たちと、桐生南最後の年に甲子園へ行きたかった」と話した。

甲子園大会中止決定後、石井監督は選手たちにこんなメッセージを送った。

「母校の監督として、お前たちと一緒に、甲子園に行きたかった。このような形で、大きな夢が阻まれてしまったことが悔しい。戦わずして甲子園に行けないことが決まってしまったことはとても悲しいこと。独自大会でファイナリストになって、優勝しよう」。

桐生南としての最後の夏。選手たちは、伝統のフィナーレを飾るにふさわしい戦いをみせる。

桐生南高等学校

【学校紹介】
住 所:群馬県桐生市広沢町3-4193
創 立:1963年
甲子園:なし
文武両道を実践する公立校。野球部OBに元プロ選手の中山慎也。学校OBに、オープンハウス社長の荒井正昭氏、「銀だこ」を展開するホットランド社長の佐瀬守男氏ら。2021年3月末、桐生西と統合となり「桐生清桜」となる。

おすすめの記事