「緊張したがチームに貢献できた」 馬塚潤哉
「決勝では差を感じた」 石岡涼哉監督
最後まで諦めない新スタイル
一戦一戦で成長し「下克上」
地区5位の常葉大菊川がはい上がった。
準々決勝で浜松商を撃破、準決勝で三島南を下して決勝へ進出。
決勝では藤枝明誠に敗れたが堂々の準優勝となった。
2020年11月号掲載
(取材・栗山司)
■地区5位からはい上がる
2007年に選抜大会で優勝を成し遂げた常葉大菊川。
当時、エースの田中健二朗(現横浜DeNA)とバッテリーを組んだ石岡諒哉監督が今年3月より指揮をとる。
同チームの代名詞はフルスイング打線。
1番から9番までが豪快にバットを振り、全国を席捲した。
石岡監督はその伝統を引き継ぎながら「一球に対するひたむきさ」をチームに植え付けている。
菅沼哲生主将(2年=捕手)はこう話す。
「当たり前のことを当たり前にやる。まずは全力疾走や返事ができるように。私生活の大事さも石岡監督から教わり、できることから取り組んできました」。
今秋の西部大会は準々決勝敗退。
5位で県大会に滑り込んだ。
石岡監督は「下から一個一個這い上がっていこう」と選手に語り掛けたという。
「石岡監督の高校生のときも、西部大会は3位でそこから意識を変えて全国優勝したと聞きました。自分たちも、意識を変えれば西部5位でしたが強豪校に勝てると思ってきました」(菅沼主将)。
県大会の初戦で駿河総合に競り勝つと、2回戦の御殿場西戦は3番・川淵琉希也(2年=外野手)の3安打2打点の活躍で勝利する。
準々決勝の浜松商戦では2度リードを許す苦しい展開。
それでも同点で迎えた9回に1番・廣瀬蓮(2年=外野手)のタイムリー二塁打で勝ち越しに成功。
最後まで諦めない新たなチームのスタイルで勝ち切った。
■チーム一丸で難敵に勝利
そして、準決勝では三島南と対戦する。
準々決勝では優勝候補筆頭の静岡を撃破した難敵だ。
準々決勝から準決勝までの3日間。チームは相手のサイドスロー投手を対策した。
緩いカーブをセンター中心に打ち返す練習を繰り返し、試合当日の朝も雨の影響で学校のグラウンド状態が悪かったものの、メンバー外の選手たちが午前6時30分から水を取り、打ち込んできた。
石岡監督は試合前に、「メンバー外の選手に報いるためにも今日は初回から打って勝とう」と檄を飛ばした。
その初回、相手のミスで先制すると、なおも2死2・3塁から6番・馬塚潤哉(1年=外野手)が右中間へ2点タイムリーを放つ。
その後も得点を重ねて、7回コールド勝ち。
3年ぶりの東海大会出場を決めた。
公式戦初スタメンで2安打4打点と結果を残した馬塚は「勝てば東海大会ということですごい緊張はありましたが、チームに貢献できた」とホッとした表情を浮かべた。
だが、翌日の決勝戦では藤枝明誠に2対16で敗退。
9回に川淵が意地の一発をライトスタンドに放つのが精いっぱいだった。
試合後は「技術以外にも差を感じた」と課題も口にした石岡監督。
目標とする春夏の甲子園出場に向け、さらに進化を重ねる。