4年連続の秋都大会進出
「ユニクロ野球」で強豪倒す
東京成徳大高は今秋の秋季大会1次予選決勝で紅葉川を2対1のサヨナラで下して都大会出場を決めた。
森田正裕監督就任9年目、チームは飛躍の瞬間を迎えている。
2020年11月号掲載
■ルイ・ヴィトンのような強豪校を倒せ!
東東京で、存在感を示す新鋭だ。
1998年まで女子校だったが1999年の共学化スタートに伴い野球部が誕生し、2002年に大会初参戦した。
2012年秋からは森田正裕監督がチームを指揮。
チームは東京都の荒波にもまれながらも一歩一歩、成長を遂げてきた。
就任9年目の森田監督は「大会で強豪と対戦し高いレベルを知ることができたのは大きい。自分たちの野球を確立して、東京にない新たなスタイルのチームを作りたい」と話す。
森田監督と松沼克門コーチが掲げるのは、「ユニクロ野球」だ。
ユニクロは今でこそブランドの価値を確立したが、発足当時は安価な洋服を売るメーカー。
付加価値をつけることで一流ブランドと肩を並べるようになった。
エースの岩井拓巳(2年)は「実績のないチームでもコツコツと努力して力をつければ、名ブランドのルイ・ヴィトンのような強豪校ともしっかりと戦えるはず」と日々の練習に打ち込む。
■サヨナラ勝利で都大会へ
今夏の3年生主体のチームは1回戦で海城を下すと2回戦では二松学舎大附と戦った。
プロ注目の秋広優人擁するチームと対戦し0対10で敗れた。
夏の経験をもとに始動した新チームは秋の初戦となった1次予選の決勝で都立実力校・紅葉川と対戦。
紅葉川は、今夏の西東京ベスト16の日大櫻丘を下して勝ち上がってきた。
東京成徳は先発坂本渉(1年)がゲームを作り5回まで1対0でリード。
6回から岩井がマウンドに立ち、1対1の同点で9回裏となった。
2死2塁のシーンで、指揮官は代打の切り札・須藤竜童(1年=投手)を起用、須藤はセンター前にタイムリーを放って、2対1のサヨナラ勝ちを収めた。
チームにとって4年連続の秋都大会進出となった。
■活気と緊張感が溢れるグラウンド
新チームは、「全員キャプテン制」を選択している。
チームには、金子航平(2年=内野手)、野田成眞(2年=外野手)、エース岩井ら核になるプレーヤーが存在するが、敢えてキャプテンを決めずに、それぞれの自覚と責任感を養っている。
森田監督は「キャプテンからの指示待ちではなく、それぞれが考えて動けるチームにならなければいけない。野球を通じて、これからの社会で活躍できる人材を育てるのも指導者の役割です」と話す。
新チームの2年生は7人、1年生は16人。
1年生は、須藤のほか、藤原淳之介(外野手)、山﨑大嘉(投手)ら伸びしろの大きな選手が揃っている。
攻守のキーマン金子は「1日1球を大事にして、成長していきたい。全員の力を合わせて新しい歴史をつくりたい」と気持ちを込める。
東京成徳の練習場は、活気と緊張感が溢れている。
そこからは本気で甲子園を目指す覚悟が伝わってくる。
選手たちの挑戦が東東京の勢力図を変えるかもしれない。