秋季静岡大会 優勝【日大三島】38年ぶり秋制覇 ※雑誌未掲載写真アリ

「全員野球」で静岡頂点、東海大会へ
1984年以来の選抜出場目指す

伝統校・日大三島は秋季静岡県大会で38年ぶりに優勝を果たした。永田裕治監督就任2年目。「全員野球」のモットーの下、選手たちが一丸となって戦った末の結果だった。(取材・栗山司)

 

■準決勝で劇的サヨナラ勝ち

永田裕治監督が就任して2年目。日大三島が38年ぶりに秋の頂点に立った。  準々決勝では掛川西相手にサヨナラ逆転勝利を飾ると、ハイライトは東海大会出場切符のかかった準決勝だった。  相手は夏の王者・静岡。2対2のまま、試合は延長戦に突入する。10回裏、2死一三塁から、打席には3番・池口奏(1年=内野手)を迎える。カウント2-1からの4球目。「狙っていた」というストレートを振り抜くと、打球はライトスタンドに消えていった。劇的なサヨナラ本塁打。「絶対に打つという気持ちで打席に入りました。感触は完ぺきでした」。打った直後、右手を高々と上げて喜びを表現した。

■試合前日のノックで心を一つに

この試合は永田監督がモットーとする「全員野球」が実った試合でもあった。前日は雨となり、グラウンドがぬかるんでいた。指揮官は室内練習場を借りることを考えたが、「全員野球を貫こう」と、屋外でベンチから漏れた選手も入れてノックを行った。約20分間のノックで顔やユニホームは泥だらけに。全員がむしゃらに白球を追いかけることで、チームが一つにまとまった。「全員でノックしたことが今日の試合に繋がったと思います。雰囲気がめちゃくちゃ盛り上がりました」(池口)  試合中、ピンチの場面では永田監督から伝令を通して、こう指示が飛んだ。「スタンドを見ろ」。応援する選手たちを見て、心を落ち着かせた。ベンチ入りもベンチ外も関係ない。まさに部員全員でもぎとった1勝だった。

 

■エース・松永が2日連続完投

翌日の決勝戦は初回に1番・京井聖奈(2年)の先頭打者本塁打で先制。3回には逆転を許すも、その裏には4番・松永陽登(2年)のタイムリー三塁打で再逆転に成功した。さらに、7回には池口の2試合連続本塁打が飛び出した。  投げては前日139球を投げて完投した松永が決勝でも好投。9回、最後の打者から空振り三振を奪うと、力強く両手でガッツポーズを作り、捕手の野田優磨(1年)と抱き合った。  報徳学園(兵庫)の監督として全国制覇を含む、春夏通算18度の甲子園出場を誇る名将の下、選手たちは試合を重ねるごとに逞しくなった。永田監督は「本当に大人しくて自信のない子ばかりだったが、少しずつガツガツするようになってきた。ようやってくれました」と選手の成長に目を細める。  次なるステージは東海大会。「全員野球」で、センバツ切符を勝ち取る。

 

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