今夏の東東京大会でシード修徳を撃破
都立小岩は2020年4月から茶川剛史監督が指揮を執る。
今夏の東東京大会2回戦で修徳を倒す大金星を挙げたチームは、新たな歴史をつくるべくスタートを切った。
2020年11月号掲載
■夏のジャイアントキリング
小岩は2020年3月まで西悠介前監督(雪谷へ異動)が指導し、今年4月に茶川監督が就任した。
茶川監督は、都立城東出身で2001年夏には主将として甲子園に出場した経歴を持つ。
鷺宮、淵江を指導し、2017年夏には淵江で東東京ベスト16へ進出。
異動に伴い、新天地へやってきた。
コロナ禍での異動で、着任あいさつもままならない中、休校期間を過ごし、練習の本格的再開から1カ月間で東東京大会に突入した。
そして、1回戦で順天を9対1で下して2回戦・シード修徳戦を迎えた。
下馬評は修徳圧倒的有利とみられていたが、小岩のエース渡部竜輔(3年)が被安打3失点1の快投をみせると、ベンチも一体となった戦いで2対1の勝利。
シード校相手に大金星を挙げた。高校野球の醍醐味が凝縮された、痺れるゲームだった。
3回戦では東亜学園(夏ベスト4)に敗れたが、大きな足跡を残して大会を終えた。
■ベンチワークが大きな武器
就任初大会でジャイアントキリングを遂げた茶川監督は「個人の能力で劣るチームがいかに勝つか。自分たちの持てる力をすべて出し切って、やるべきことをやるだけです」と話す。
1・2年生合わせて30人の新チームは「一致団結」をテーマに始動、練習場では選手たち自らがムードを作り、練習を盛り上げている。
高草優心主将(2年=外野手)は「ベンチワークが小岩の大きな武器。練習からみんなで盛り上げて、試合につなげています」と話す。
指揮官は甲子園経験に加えて大学院で野球技術論を学んだが、選手たちを型にはめることはしない。
選手たちの意思を尊重し、そのサポート役に徹している。
選手たちの成長を見守る指揮官は「全部私の指示通りにやって勝ったとしても、選手に何が残るのでしょうか。自分たちで考えて、成功や失敗を繰り返すことが一番の成長の糧。選手たちには成功体験をつかんでほしいと思っています」と、指導方針を語る。
■チームのテーマは「打破」
今秋の秋季大会1次予選は1回戦で淑徳巣鴨に勝利し、2回戦では日大三と対戦した。
夏に引き続き強豪との対戦となったが、選手たちは恐れることなく立ち向かった。
エース鎌田翔吾(2年=投手)が低めを丁寧につくピッチングをみせると5回まで無失点で抑える好投をみせてスコアレスで終盤へ。
夏に続く金星を狙うも最後は地力の差によって0対5の敗戦となったが、9回まで戦い抜いた。
新チームは、高草主将、関根壱汰(2年=内野手)、佐藤誠士(2年=内野手)、岩淵蓮太(2年=捕手)の3人の副将が軸となる。
今夏から修徳、東亜学園、日大三という強豪と対戦したチームは、これらの経験を糧に頂点を目指す。
高草主将は「チームのテーマは『打破』。小岩の伝統を引き継ぎながら、都立の挑戦者として、これまで越えられなかった壁を乗り越えていきたいと思います」と力を込める。
次なる下克上を狙うチームは、強い意思が刻まれた「挑戦状」を携えて、この冬を越えていく。