「甲子園に行くには勝ち続けなければいけない」竹内智一監督
「甲子園で校歌を歌うことがこのチームの目標です」森高裕一郎
神奈川県大会準優勝でいざ関東大会へ
鎌倉学園が秋季県大会で準優勝を果たし、33年ぶりに関東大会へ出場する。
選抜参考試合となる関東大会では、本気で選抜甲子園を狙っていく。
2020年11月号掲載
■3年前の経験を糧に
2020年秋、鎌倉学園が準々決勝で桐光学園を7対2で破って準決勝へ進出した。
よみがえるのは2017年の秋季大会だ。
同年の準々決勝で横浜を15対8の8回コールドで撃破し、準決勝へ。
決勝進出をかけた舞台で慶応に0対1で惜敗すると、地元開催の3位枠をかけての3位決定戦で桐光学園と戦い、2対3で敗れた。
関東大会を目前にしながら両試合ともに1点差負けで涙をのんだ。
甲子園が視野に入ったチームは2018年の南神奈川大会で決勝へ進出、聖地まで「あと1勝」となったが、横浜に3対7で敗れて夢は散った。
本気で甲子園を目指すチームは、強い覚悟を胸に今秋の準決勝・桐蔭学園戦へ挑んだ。
竹内智一監督は「3年前の秋の反省を忘れずいつもどおりの気持ちで臨んだ」と明かした。
■「K」のユニフォーム
鎌倉学園には負けられない理由があった。
今大会のメンバー登録は25人。
それ以外の部員47人はスタンドで見守った。
練習場は、野球場一面が取れずにダイヤモンドをやや広げたほどのスペース。
試合メンバー中心の練習に切り替えて大会へ臨んだ。
指揮官は「控え部員たちは、下を向かずにサポートしてくれている。だからこそ負けるわけにはいかなかった」と話す。
準決勝は「K」のユニフォームをまとった選手たちが、控え部員の想いを背負ってグラウンドに立ち、躍動した。
勢いもろともゲームに入った選手たちは、1回に2点、2回に4点を奪い、主導権を握る。
先発は、背番号10のエース増島圭祐。
球速以上にキレのあるボールで桐蔭打線を封じ込めていく。
だが、6点差でも何が起きるかわからないのが神奈川の野球。
鎌倉学園は、ゲーム中盤にもムチを入れて、4・5回に4点を追加、10対0の5回コールド勝利で決勝進出を決めた。
■決戦・関東大会に照準
決勝戦の相手は、東海大相模。
すでに関東大会切符は手中だったが、真剣勝負で優勝を狙った。
鎌倉学園は、準決勝に続き増島がマウンドに上がったが連投のためやや精彩を欠いた。
それでも3回を3失点で進めて、打線の援護を待つ。
しかし、東海大相模の先発・大森幹大の低めのボールにバットが次々と空を切り、打線がつながらない。
4回からは背番号1・平本龍太郎がマウンドを引き継ぎ、必死に食らいついていく。
イニングが進むごとにじわじわと点差が開く中、7回には3番・森高裕一郎のタイムリー、4番・小山春の犠飛で2点を返し、可能性をつなぐ。
しかし、最後は突き放されて2対8で9回を終えた。
宮尾一冴主将は「決勝戦では、自分たちの足りない点に気づいた。関東大会までにもう一段レベルを上げいく」と話した。
竹内監督は「甲子園に行くには勝ち続けなければいけないので、(決勝敗戦は)素直に悔しい。もっと成長しなければいけない」と関東大会に照準を合わせる。
「K」のユニフォームの長い秋は、まだ終わらない。