殊勲の秋季大会ベスト16入り
最速138キロ左腕黒坂を軸に旋風起こす
那須清峰が2020年の秋季大会で2つの勝利を挙げてベスト16へ進出した。手応えをつかんだ県北のチームは、来年へ向けて士気を高めている。
2020年12月号掲載
■秋季大会で「底力」
県北の序列が変わるかもしれない。
那須清峰が今秋に進撃をみせた。シードを決める交流戦は上三川に3対4で敗れるスタートとなったが、本戦で底力をみせた。
初戦は県北の伝統校・大田原との対戦となった。序盤で0対6と大きくリードを許す展開となった状況でも選手たちはあきらめなかった。4、5回に勢いをつかむと、それぞれ4点ずつを奪って、一気に逆転に成功する。そして、継投策で逃げ切り8対6の番狂わせを成し遂げてみせた。
OB指揮官の君島健友監督は「大田原さんに勝つのは、私が監督をしている間では初めてのこと。選手たちが粘り強く戦ってくれた」と振り返る。チームの勢いはまだ止まらなかった。2回戦では宇都宮を6対4で下して16強へ進出した。
■3回戦では作新学院と対戦
3回戦の相手は、作新学院。
指揮官によると「名前負け」してしまった面があったという。夏9連覇中(〜2019年)の作新学院は、那須清峰の選手たちが野球を始めた少年時代からの「絶対王者」。那須清峰は一丸となって戦ったが、序盤から相手打線を封じることができずに0対14の5回コールドで敗れた。
作新学院戦で途中登板した黒坂大希(2年=投手)は「投手陣として抑えることができなかった。栃木県のトップレベルの打撃を経験できたので、チームとして高いレベルを目指していきたい」と話した。大会を通じて大きく成長した那須清峰は、秋季大会の「2勝」と「1敗」を糧に、次なる飛躍を狙う。
■センターラインで勝負
新チームは、夏を経験したセンターラインが中心となっている。投手時は、未完の大型左腕・黒坂を軸に、相馬一翔(2年)、小松涼介(1年)の両右腕の継投で勝負する。相馬、小松の先発から、黒坂へつなぐパターンが多い。タイプの違う投手を、捕手・阪本将人がリードする。
打線では、小藤光将主将(2年=外野手)、黒坂、藤田海樹(2年=内野手)のクリーンアップが勝負強い打撃をみせるほか、1番の谷森歩夢(2年=外野手)が打線に火をつける。
君島監督は「県央部の選手たちも、同じ高校生。うちは心優しい選手が多いが、気持ちで負けないことが大切。この冬に力を蓄えて、春・夏に秋以上の結果をみせたい」と、選手への期待を込める。那須清峰は、地域の誇りを胸に次なる大会を待つ。