【渋川 野球部】「野球を楽しむ」 #渋川

今夏38年ぶりのベスト8進出
伝統進学校の快進撃

伝統進学校・渋川が 今夏38年ぶりのベスト8進出を果たした。目指すは「楽しみながら勝つ野球」。セオリーを大切にしながらも常識に捉われない戦いで、次なるステージへ向かう。

■大胆な継投策を駆使し8強入り

伝統進学校が地域に活力を与えた。

今夏の群馬大会で、渋川が快進撃をみせた。大胆な継投策を駆使して接戦を勝ち上がると、38年ぶりに準々決勝まで辿り着いてみせた。1回戦で、桐生南と桐生西の合併校・桐生清桜に4対2で逆転勝利すると、2回戦ではシード館林に4対3でサヨナラ勝利し、周囲を驚かせた。3回戦で伝統実力校・桐生と対戦し、5回まで0対0で進めると、6、7回に各4点を奪いコールド勝利し、地域に吉報を届けた。エース荒木貴義(3年)をリリーバーに回して、上村晟(3年)、津久井礼(3年)を先発起用しゲームを作った。好機で選手たちが勝負強さをみせたのも好結果の要因だ。その背景には、「野球を楽しむ」という原点がある。

■前橋育英出身の次世代指揮官

采配のタクトを振るのは、今春から指揮を執る原悠太監督。高校時代は前橋育英で荒井直樹監督のもとプレーしたあと、高崎経済大へ進学。大学3年生時に主将兼監督を務めたことがきっかけになり指導者の道へ、非常勤講師を経て県教員となった。渋川には2019年に着任、2年間、毒島健一前監督、小泉雄一前部長(現顧問)のもとで指導者の基礎を学び、春からベンチに入っている。

ベンチでは、母校・前橋育英の荒井監督同様に手帳にメモを取るシーンが目立つ。その手帳は、小泉前部長からもらったものという。原監督は「手帳にはゲーム中に気づいたことをメモして、一度、冷静になって考えたあとに、大事なことだけ選手に伝えるようにしている」と話す。チームマネジメントは、私立と公立のハイブリッド。指揮官は「高校時代に教えてもらった野球をベースにして、選手に合った指導法を考えている」と選手を見守る。

■投打のバランスが取れた新チーム

先輩たちの好結果を受けて、新チームはスタートしている。

松村康生主将(2年=外野手)を中心に、前チームのレギュラーだった水出裕介(2年=中堅手・投手)、清水陽斗(2年=遊撃手)がチームの土台となっている。投手と外野手の二刀流の水出はリードオフマンとしてパワフルなプレーでチームを牽引、県屈指の好プレーヤーだ。クリーンアップは、松村主将、野中大夢(2年=一塁手・投手)のほか、ポテンシャルを秘める小此木完太(2年=捕手)が控える。投手陣は、石坂宥斗(2年)、奥木寛太(2年)、水出らの継投でマウンドに上がる。チームは未完成だが、選手の潜在能力は高く、投打のバランスが取れた完成形がイメージできる。松村主将は「試合を本気で楽しみながら先輩たちが残してくれたベスト8という結果を超えていきたい。全員野球で一体感のある戦いをみせたい」とさらなる飛躍を試みる。

伝統進学校の次なる歴史はここから始まる。

 

 

おすすめの記事