元東大監督が率いる個性派集団
新コーチ陣体制で活気付くチーム
2011年秋にベスト4進出を果たした駿台学園が再び地力をつけ始めている。元東大監督の指揮官率いるチームは、選手の長所を伸ばしながら、戦う集団へと変貌している。
■チーム改革は着々進行
チーム改革は着々と進行している。駿台学園は、元東大指揮官の三角裕監督着任後の2008年秋に2回戦で創価に勝利しベスト8、2011年秋には3回戦で修徳、準々決勝で府中東に勝ちベスト4進出を果たした。その後、三角監督は総監督の立場で、チームを見守っていたが、近年は3回戦の壁を突破できない時期が続き、部員がじわじわと減ってしまった。2019年秋から三角監督が再びタクトを持ち、2020年にはコーチ指導体制を刷新。二松学舎大附・市原勝人監督の息子・優人コーチ、東京学芸大出身の井上裕貴コーチの若き指導者が新卒加入し、ベテラン指揮官をサポート。三角監督が全体をまとめ、市原コーチがバッティング、井上コーチが守備・走塁を主に担当。今年4月には24人の1年生が入部するなどチームは再び活気付いている。
■新たな指導体制で選手飛躍
三角監督は東大出身で、大学卒業後に埼玉・伊奈学園総合へ着任し、公立高校で甲子園出場を果たした実績を持つ。その後は東大監督を8年間にわたって務めて、駿台学園へやってきた。六大学野球を経験してきた指揮官は「『東大式指導』はないですが東大の選手たちでも、基礎をしっかりと身につければドラフト候補のエリートからホームランが打てるようになる。駿台学園の生徒たちは、中学時代に補欠だった選手が多いですが、技術を身につけると劇的に伸びていきます。選手たちには、自分で“船”を漕いでいくようになってほしいと思います」と見守る。
駿台学園の校庭はスペースが限られているため選手たちは走攻守の基礎練習に打ち込み、週2回ほど外部グラウンドで実戦練習に励む。基礎と応用の繰り返しによって、チームは成熟していく。
■個の力は着々と上がる
秋の新チームは2年生10人、1年生24人の計34人。3年生が少なかったため、今夏は1・2年生が主力として大会に出場。チームをまとめる新キャプテンの竹内主悦主将(2年=内野手)、大器の片鱗をみせる本格派右腕・桑島天(2年)、右サイドの八木陽斗(2年)、4番・結城桐馬(2年=外野手)ら夏を経験した選手が新チームの主軸を担う。關川夏生(1年=捕手)、關川莉久(1年=三塁手)の双子のプレーにも注目だ。エース桑島は駿台中学出身で中学時代は2番手だったが、高校に上がって大きく成長。来夏には東東京を代表する投手になる可能性を秘めている。桑島は「夏には140キロ以上のストレートを投げて、チームとして勝ち上がりたい」と練習に励む。竹内主将は「個人の力は上がってきているので、チームとしてのつながりを大事にして戦っていく」と力を込める。
チームは今秋一次予選を突破したが、そこが目標ではない。指導体制と選手の意欲の“両輪”が動き出したチームは、さらなる上昇気流に乗っていく。