【相洋 野球部】「情熱のタスキ」 #相洋

2020年夏創部初の準優勝
新チームは秋季大会ベスト8

 2020年夏の神奈川県独自大会で創部初の準優勝となった相洋。3年生たちの魂は、新チームに引き継がれている。秋季大会ベスト8のチームは、野望を胸にこの冬を越える。

[2021年1月号掲載]

■2020年夏の超進撃  

2020年夏の決勝、 東海大相模と真っ向勝負した相洋は7回裏に加藤陸久(3年)の2ランで5対2とリード。相手を追い詰めたが、8、9回に耐えきれずに無念の逆転負け。頂点に立つことはできなかったが、創部初の準優勝となった。

2012年から指揮を執る高橋伸明監督は「これまで実績のないチームが決勝に進めたことへの周囲のインパクトは大きかった。小田原の山の上のグラウンド(穴部)で練習をしてきた選手たちが、横浜スタジアムの大舞台で、普段どおりのプレーをみせてくれたことが一番の財産です」と激闘を振り返る。チームは2019年秋の準決勝で東海大相模に1対12でコールド負け。その試合は全校応援となったが、期待に応えることができなかった。コロナ禍でもあの悔しさを忘れなかったチームは、最後の夏に、東海大相模を土俵際まで追い詰めた。決勝の激闘は多くの高校野球ファンを魅了した。

■陸上部から学んだこと  

3年生たちの思いを背負って始動した新チームは、秋季大会2回戦で柏木学園に16対14で勝利、3回戦・向上では2対7で迎えた9回裏に一挙6点を奪って執念のサヨナラ勝ち。士気上がる選手たちは、準々決勝・横浜戦へ挑んだが結果は1対8のコールド負け。秋の進撃はベスト8で止まった。

秋季大会を終えたチームは、その後の練習試合で連戦連敗だったという。11月上旬、学校には陸上部からの吉報が届いた。高校駅伝競争大会で男子が初優勝、全国大会出場を決めた。1位でゴールテープを切った陸上部だが、区間賞はだれもいなかったという。その記録を見た高橋監督はミーティングで選手たちに、それを教えた。指揮官はミーティングから離れたが、引退した3年生が、2年生たちにアドバイスを送った。

その3年生は「練習試合で勝てていないのは、チームとして戦えていないから。陸上部のように、それぞれの役割を果たさなければいけない」と説いたという。夏の準優勝は、3年生の結果。新チームはまだ何も成し遂げていない。選手たちはこの冬、ゼロからのスタートを切った。

■学年の枠を超えて切磋琢磨  

2021年夏へ向かうチームは、夏の大舞台を経験した二宮巧磨主将(2年=内野手)、﨑元涼介(2年=内野手)、笠間泰生(2年=内野手)の3人がチームを牽引する。決勝戦の雰囲気、そして悔しさを知る選手たちの存在は大きい。

その一方で、夏の経験をチームに還元する責務もある。投手陣は、左腕・一ノ木戸颯、加藤優大郎、将来性ある右腕・吉村京真の1年生トリオが成長著しい。投手陣のボールを受ける女房役は1年生の石澤憲太。チームは秋季大会を終えて、レギュラーをリセット。選手たちが学年の枠を超えて、しのぎを削る。

二宮主将は「秋の準々決勝・横浜戦では自分たちの野球がまったくできなかった。その実力差を埋めるには冬の練習しかない。僕たちは3年生たちの努力と強い気持ちを見てきたので、それ以上に必死にならなければいけない。夏までに自分たちの野球を確立させて、3年生が果たせなかった神奈川優勝、そして甲子園を目指す」と視線を上げる。

夏準優勝のタスキを受けた2年生たちは、神奈川の頂点を目指して邁進する。

 

 

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