春夏10度の甲子園出場を誇る名門
1997年夏以来の聖地へ「一戦必勝」
春夏通算10度の甲子園出場を誇る伝統校・堀越。1997年夏以来、甲子園から遠ざかるが、志は変わっていない。チームはコロナ禍でもたくましく、進化を遂げていく。
■1969年の選抜準優勝
選抜、夏甲子園で通算10度の甲子園出場を誇る伝統校だ。1969年の選抜では、初出場で決勝まで進出。決勝では勝てなかったが準優勝という快挙を成し遂げている。井端弘和(元中日、巨人)、岩隈久志(元楽天、シアトルマリナーズなど)らプロ野球選手を輩出、1990年代までは東京トップレベルの力を誇示していた。いまは20年以上、甲子園に出場することができていないが、ベスト8、ベスト16にはたびたび進出。校舎は中野にあるが、野球部、サッカー部などの体育コースの生徒は、八王子市の総合体育施設・学習センターで学びながら、恵まれた環境でトレーニングを積んでいる。名門復活を誓う選手たちは、甲子園という夢を目指して、突き進む。
■人間形成という本質
チームを率いるのは、元修徳指揮官の小田川雅彦監督だ。修徳時代は、春夏1度ずつの甲子園出場実績を誇る。小田川監督は修徳定年後の2018年から堀越を指導、選手たちと共に次なる一歩を踏み出している。監督就任から4年の時間が経過したが、2020年春からコロナ禍によって環境が大きく変わっている。時間制限や環境が大きく変わる中でも選手に寄り添っている。「選手たちは、野球部での日常生活、先輩後輩の関係などから学ぶことが大きいのですが、コロナ禍での時間限定練習や学年別練習によって人間的な部分での成長の機会が失われてしまっています。それが残念。試行錯誤を重ねながら、人間形成という高校野球の本質を教えていければと思っています」とベテラン指揮官は言う。
■高校野球の原点を追求
堀越が目指すのは、高校野球の原点だ。小田川監督は「2年半という時間で、しっかりと鍛え上げることによって選手は大きく成長していきます。入学時に実績のない選手が3年後に成長して、強豪校の選手と互角以上に張り合うのが高校野球の醍醐味。時代に合わせながらも、もう一度、『高校野球の本質』を突き詰めていきたいと考えています」と語る。新チームは、富田直輝主将(2年=捕手)を軸に、最速130キロ後半の右腕・加藤宇(2年)、技巧派左腕・佐藤虎ノ介(2年)のダブルエースが安定。守備の要の遊撃手・田苗祥大(2年)を含めてセンターラインは盤石だ。打撃は主砲・深澤佳正(2年=内野手)を中心に全員がチームバッティングに徹している。秋予選を突破したチームは都大会1回戦で東大和に、2回戦で八王子実践に勝利し、駒を進めている(10月11日現在)。投手陣が計算できるため冬の打撃強化によって春、夏に飛躍する可能性は十分だ。2022年、名門復活の鐘が鳴る。