2018、2019年秋ベスト8
コロナで閉ざされた道を切り拓け
湘南地区で着々と地力をつける湘南工大附。2019年秋の県大会でベスト8入りしその先へのルートがみえてきたチームだが、コロナ禍によって選手たちの道は 閉ざされた。今季のチームは、昨季の先輩たちが作った道を追い、未開の地へと突き進む。
■2年連続の秋8強からの「敗戦」
前チームは2019年秋の4回戦で横浜商を撃破してベスト8へ進出、準々決勝で東海大相模に敗れたが2年連続の秋8強となった。
春・夏へ向けて士気が高まったが、コロナ禍により春大会が中止となり、夏の甲子園も消えた。前チームは夏の独自大会へ挑んだが、3回戦で星槎国際湘南に敗れてシーズンを終えた。先輩たちの意志を継いだ今チームは、実戦不足の中で秋季大会予選へ臨んだが、予選決勝で藤嶺藤沢に7対8で惜敗し本大会出場を逃した。小林翔主将(新3年=外野手)は「力的には互角だったと思いますが攻守の粘り強さが足りずに負けてしまった」と振り返る。チームは敗戦を受け入れた。
■当たり前のことを当たり前に
チームに足りないものは何か。
榊淳一監督は、選手たちに問いかけた。コロナ禍の影響があるのは確かだが、それはどのチームも同じ。指揮官と選手たちは、「覚悟の差」という結論を導いた。限られた日数、限られた練習時間で、自分たちは本気になれたのか。野球に懸ける覚悟が、相手チームと違っていたのではないか。限られた時間だからこそ、覚悟が求められる。新チームは「覚悟」をスローガンに再起動していくことになる。榊監督は「グラウンド内だけではなく、グラウンド外でもどれだけ本気になれるか。練習時間が短いからこそ当たり前のことを当たり前にやっていく。小さな積み重ねが覚悟につながっていくと思う」と話す。
チームは土台をもう一度、見つめ直しながら、一球と向き合った。
■エース小柴を軸に狙う大旋風
今年1月、再び緊急事態宣言が発出されたが、チームはもう負けなかった。
練習時間は平日1日90分になったが、選手たちは自宅でオンライントレーニング。それぞれが画面をつないで自重トレーニングメニューをみんなでこなした。左腕エース小柴潤(新3年)は下半身強化によって球速が著しくアップ。春・夏は140キロ超のクロスファイヤーで右打者の胸元をえぐることだろう。右腕・松下空雅(新3年)も力を伸ばす。打線は、3番・中村黎生(新3年=内野手)、4番・小林主将、5番・小松友輝(新3年=外野手)のクリーンアップが役割を果たす。守備は、我妻翼(新3年=遊撃手)が堅実なグラブさばきをみせる。チームは冬を越えて、確実にたくましくなっている。困難に屈しない。「勝ち負けよりも大事な部分を選手たちが学んでいる」(榊監督)。
選手たちはこの1年で、大事なことを学んだ。いざ春へ。選手たちは胸を張ってグラウンドへ向かう。