【前橋商 野球部】「未来へ」 #前橋商

春夏甲子園8回の名門
2019年夏準優勝、いざ甲子園へ

 2019年夏は、左腕エース井上温大(巨人)を擁して準優勝となった前橋商。昨秋準優勝のチームは今夏、6度目の夏甲子園を目指す。

(2021年8月号掲載)

■先輩が越えられなかった壁  

甲子園は目の前にある。2019年夏は、エース井上温大を擁して準決勝で関学大附を下して決勝へ進出、決勝で前橋育英に0対3で惜しくも敗れた。昨夏の独自大会ではベスト4。昨秋は決勝で健大高崎に屈したものの準優勝で関東大会へ進出。選抜を懸けた関東では1回戦で常総学院に敗れて、甲子園には届かなかった。今春こそ3回戦で敗れたものの、最近の大会ではコンスタントに上位に進出、2010年夏以来、6度目の夏甲子園は確実に近づいている。住吉信篤監督は「あと1勝、あと2勝まで来ているが、ここからの道が険しい。ここを乗り越えなければいけない」と、上州のトーナメントを睨む。今年の3年生は、2019年夏の準優勝をスタンドで見た選手たち。先輩たちが越えられなかった壁を打ち破るべく鍛錬を積んできた。

■2020年代の覇権は譲れない  

OB指揮官の住吉監督は2012年から母校の指揮を執る。前任の高崎商時代は2度の選抜出場を成し遂げて、母校へ戻ってきた。2010年から健大高崎、前橋育英の私学2強時代へ突入。逆風が吹く中で着々とチームの土台を固めてきた。2020年代の最初の夏となった昨夏は、甲子園が中止となったため、この夏に復活を期す。伝統校として2020年代の覇権は譲れない。  今夏のチームは昨秋準優勝の経験が基盤になっている。エース茂田侑大(3年)、筑田歩夢(3年)の両右腕を軸にした投手陣は、ひと冬を超えて球威が増す。さらに191センチの二刀流・萩原蒼真(3年=外野手)も夏に向けてコンディションを上げている。エース茂田は「最後の夏にチームを優勝へ導けるようなピッチングを見せたい。攻める投球を心掛ける」と夏大会へ挑む。

■ピンチをチャンスに  

ピンチをチャンスに変えてきた。公立高校はコロナ禍によって6月中旬まで対外試合ができなくなるなど制限があったが、チームは1〜3年生を5チームに分けて紅白戦を実施。夏の前哨戦となった紅白戦では下級生が活躍し、上級生を脅かすなど予想外の収穫があった。冬の間、地道にバットを振り込んできた3年生たちは春以降、飛距離を著しく伸ばした。内田遥己(3年=内野手)、塩坪永勢主将(3年=外野手)のクリーンアップのほか、高田修造(3年=内野手)、林悠汰(3年=内野手)も柵越えを放つなど、長打力がアップ。夏直前になってチーム内競争は激化している。塩坪主将は「2年前の夏は準優勝でしたが、先輩たちが僕らに大きな勇気をくれました。先輩たちのためにも、これまでの努力の成果をグラウンドで発揮して甲子園へ行きたいと思います」と王座奪還を狙う。伝統校・前橋商は、復活の刻を待つ。

 

 

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