自分たちらしい野球を追求
新たな指針とともに勝利も学業も諦めないチームに
野球部員の3つの指針
・所属団体をより良くするリーダーとなれ! ・希望大学に進学せよ! ・甲子園を目指せ!
2014年夏、2016年秋に4強進出を果たした公立実力校・高崎経済大附。チームは3つの指針をもとに「勝利」と「人間形成」を追及していく。
■選手の意思を尊重する野球部
新チーム始動後の昨年10月、選手たちから小池美徳監督に提案が持ちかけられた。「先生、坊主頭をやめませんか」。これまでチームは「坊主頭」が不文律となっていたが、選手たちから髪型自由化の案が上がった。提案者の一人・矢島晴喜副将(2年=内野手)は「自分たちの希望だけではなく、野球部の人数が減ってきている中で、髪型によって野球をやめてしまう選手がいるのは残念。これからのチームのためにもここで変えたほうがいいと思いました」と明かす。
今の2年生は13人、1年生は9人。学校の入試倍率が県屈指の状況下、野球部員が減っているのは事実。指揮官は、選手の意思を尊重し野球部、学校の一員としての規律を守った上での自由化を認めた。それが実行できる選手たちだと理解していたので、決断に時間はかからなかった。秋以降、短髪にする選手がいる中で、坊主のままの選手もいる。髪型自由化は新たな一歩となった。
■OBたちが戻れる場所
高崎経済大附野球部には3つの指針がある。「所属団体をより良くするリーダーとなれ!」「希望大学に進学せよ!」「甲子園を目指せ!」。今年の学校生徒会長の遠藤完倫(2年)は、野球部員。遠藤は「学校のために行動したいと思い、立候補しました。責任ある立場になったことで野球部員としての自覚も高まりました」と話す。学業でも結果を残している。引退後に机へ向かい、第一志望の大学に合格していく選手が増えた。
卒業間近の3年生のマネージャー田辺怜奈さんは立教大学に合格し、今春からは野球部のマネージャーになる予定。高崎経済大附で学んだことを生かし、六大学リーグへ羽ばたくことになる。年末年始には巣立ったOBたちが、グラウンドに訪れて恩師に近況報告。後輩たちを激励し、共に汗を流していく。小池監督は「野球部は現役の選手だけのものではなく、OBたちが戻れる場所。顔を出して良かったと思われる野球でなければいけない」と語る。
■細部にこだわった野球
「リーダー養成」、「大学進学」で実績を残している中で、チームは「結果」を追及している。2014年夏、2016年秋に4強進出を果たしたが最近5年間は3回戦が最高成績。コロナ禍の時短練習など難しさもあるが、それを言い訳ににはしない。チーム戦術の方向転換を図った。これまで強豪に対抗すべくフルスイングを心掛けてきたが、チーム本来の姿である「スモールベースボール」を徹底した。指揮官は「希望を持って高崎経済大附野球部に入部してきた選手たちに、一つでも多くの勝利を導いてあげたい。選手は勝利を経験することでさらに成長していく。そのために細部にこだわった野球をしていきたい」と勝利を追求していく。
チームは昨夏1回戦で前橋工、太田工を撃破。昨秋には沼田に2対1で勝利した。加藤仁登主将(2年=外野手)は「高崎経済大附らしい戦いで、甲子園を目指す」と力を込める。「勝利」と「人間形成」を追求した先に甲子園が見えてくる。