昨年、県ベスト4進出の実力校
「一体感」を武器に悲願の甲子園へ
昨夏の県大会で10年ぶりのベスト4進出を果たした磐田東。士気高まるチームは「一体感」を武器に甲子園を目指す。(取材・栗山司)
■個々の能力を伸ばして甲子園へ
1995年に創部した磐田東。甲子園4度出場の名将・山内克之監督のもと、2010年秋に東海大会出場、2011年夏には県準優勝を果たした。近年はプロ野球選手を多数輩出。2017年に鈴木博志が社会人のヤマハを経て中日へ、2020年には二俣翔一が育成で広島に入団した。
2020年夏限りで山内監督が勇退。チームを引き継いだのは教え子の山本幸司監督だ。掛川西では2年夏と3年春に甲子園へ。亜細亜大では日本一に貢献した実績を持つ。山本監督は選手と近い距離で接し、個々の能力を伸ばしながら、悲願の甲子園出場を目指している。
■昨夏はベスト4進出
昨夏の県大会では10年ぶりにベスト4まで勝ち上がった。4回戦で日大三島相手にコールド勝ちを飾ると、準々決勝では第1シードの藤枝明誠を撃破した。 植田弘敏(現東海大)、水野琉唯(現富山GRNサンダーバーズ)ら、タレントを揃えた前チーム。「今年は去年のような飛び抜けた選手がいない分、一体感を高めていきたい」と山本監督は口にする。部員は3年生と2年生合わせて53人。大所帯だからこそ、まとまって戦っていく大事さを強調する。
鈴木慈英主将(3年=内野手)も同様に「全員が一体感を持って一つの束になっていけば、大きなものになる」と力を込める。
■オフはチーム内でリーグ戦を実施
新チーム結成直後から「一体感」をテーマに取り組む磐田東。昨秋は県大会に出場したものの、初戦の加藤学園戦で逆転負けを喫した(4対5)。「あの試合は初回からチャンスを作ることができていましたが、なかなかあと一本が出なくて大量得点に繋がりませんでした。一本が出ないというのが自分たちの課題だと思いました」(鈴木主将) オフ期間の12月からはチームを4つに分けてリーグ戦を開催。毎週土曜日と日曜日を使って試合を行った。「試合は緊張感があり、ここで打てなかったら、試合に出られなくなるという危機感が生まれた」と鈴木。チーム内での競争心が高まったと同時に、実戦感覚が養われた。 今夏、チームが目指すのは甲子園出場。投手陣は昨夏を経験する池端勇輝(3年)に加え、速球派の村松太智(3年)、左腕の深田舜(2年)らが台頭。カットボールが武器の山本翔己(3年)も控える。打線は1番・石川優吾(3年=外野手)を筆頭に上位から下位までムラがない。3月の練習試合では大量26点を奪うなど爆発力を秘めている。 鈴木主将が宣言する。「夏は県で1位になり、甲子園で勝つことが目標です」。
「一体感」に力強さが加わった磐田東。今夏は昨年のベスト4を超え、一気に甲子園勝利を成し遂げる。