【東京 野球部】「本気」 #東京

秋都大会ベスト32進出に手応え
多摩川河川敷から甲子園へ

昨秋の都大会でベスト32へ進出した東京。新年度創立150年目を迎えるチームは、本気で甲子園を目指していく。

■昨秋の都大会で東亜学園を撃破

東京は昨秋のダークホースとなった。一次予選の決勝で、実力校・日本学園に競り勝ち、都大会出場を決めた。1回戦の相手は東亜学園となったが、東京は序盤の劣勢を全員野球で跳ね返していった。0対3で迎えた5回に、佐藤明登(3年=内野手)の走者一掃のタイムリー二塁打で同点に追いつくと、続く6回には主砲・河瀬康太(3年=投手)のタイムリーで逆転に成功。その後はエース河瀬が相手打線に得点を与えずに5対3で勝利した。2回戦・城東戦でも好勝負を演じたが、打線が押さえ込まれて1対4で敗れた。ベスト32となったチームは収穫と課題を手にして、多摩川河川敷グラウンドへ戻ってきた。

■2008、2014年にベスト8進出

東京を率いるのは、OB指揮官の松下浩志監督。高校時代は主将としてチームをまとめ大学卒業後に母校へ戻ってきた。思い出すのは、2008年の秋季都大会だ。2回戦で日大鶴ヶ丘に6対5で競り勝ち準々決勝へ。4強入りをかけた戦いでは早稲田実に4対5で惜敗したが堂々のベスト8進出。各大会でダークホースぶりを発揮するチームは2014年夏の東東京大会でもベスト8入り、夢舞台へと歩みを進める。チームの指針は「本気になれば世界が変わる」。松下監督は、選手たちの可能性を信じて、本気の意味を伝えている。就任18年目の指揮官は「選手たちが自ら考えてプレーすることが大切。そのためには仲間とコミュニケーションを取って、常に学ぶ必要がある」と話す。

■泥だらけの手帳が夏のチカラ

グラウンドには活気があふれている。東京は、松下監督からのトップダウンではなく、選手たちの意見を反映するボトムアップ方式で練習が組み立てられている。選手たちのポケットには手帳が準備され、練習で気付いたことをその場でメモしていく。水谷唯翔(3年=捕手)は「練習後にメモを振り返って、翌日へ準備していく」と、手帳を活用する。泥だらけのメモが、夏へのチカラとなる。チームの軸は、エースで4番の河瀬。中学時代は投手だったが、高校ではケガの影響もあり登板機会はほとんどなかった。新チーム始動直後は捕手として背番号2での登録だったが、秋予選でマウンドに立つと威力あるストレートで相手を抑えて躍進の立役者となった。背番号2のエース河瀬は「秋の結果には満足していない。チームの一員として自分の役割を果たすだけ」と大会を見据える。川田空羽主将(3年=内野手)は「自分たちで考えることで成長できている。自分たちの野球を思い切り展開したい」と夏へ向かう。

選手たちは自分たちの力で新たな世界を切り拓いていく。それは野球だけではなく、人生の糧となる。

おすすめの記事