3連覇の重圧に耐えながらのベスト8
緊張感漂う熾烈な戦いの連続
伝統校・静岡はベスト8で夏を終えた。夏3連覇のプレッシャーがのしかかる中、秋、春と確実にステップアップしてきただけに、涙の幕切れとなった。
■粘り強く勝ち上がる
3大会連続優勝の夢はついえた。 初戦は強豪の磐田東と対戦。エースの法月彰弘(3年)が完投し、プロ注目の吉田優飛(3年=投手、外野手)が本塁打を放つ好スタートを切る。
続く沼津東戦は逆転勝利。そして、4回戦(対加藤学園)も劣勢を跳ね返し、最後は5番・袴田航旭(3年=内野手)の執念のタイムリーでサヨナラ勝利を飾った。池田新之介監督は「全員の力でつなげた。勝利を諦めず、よく粘ってくれた」と選手の成長ぶりに目を細めた。
■あと1人からの敗戦
迎えた準々決勝。掛川西との一戦は息詰まる投手戦で試合が進んだ。 今夏初先発となった吉田が「ベストが100だとしたら、50点くらいだったが、どんな内容でも抑えるという気持ちで投げた」と4回を無失点。2番手の鈴木脩矢(3年)を挟み、6回からは法月が走者を出しながらも持ち味の粘り強さを発揮して無失点にしのぐ。すると、0対0の8回裏、静岡は7番・知念崇太(外野手)と8番・猪股李紀(外野手)の2年生コンビで1点をもぎ取った。
しかし、直後の9回、2死から満塁のピンチを作る。掛川西の山本柊太に対し、カウント2ー2からの3球目だった。「甘く入ってしまった」と法月。高めに抜けたスライダーをとらえられ、ライト越えの走者一掃の三塁打となった。「あと一人」からの敗戦。法月は「甲子園に行くためにここまでやってきたので悔しい」と涙を流した。
■頂点の奪還へ
今年の静岡は「強(きょう)」というテーマを掲げ、一体感を大切にして戦ってきた。敗戦後は球場外で誰もが泣き崩れ、主将の山岸廉尊(3年=内野手)は「とにかくみんな一生懸命に練習にして、最後は一つになったと思う」と言葉を絞り出すのが精いっぱいだった。 伝統校ゆえのプレッシャーと戦いながら、泥臭くひたむきに戦った静岡ナイン。思いは後輩たちに受け継がれる。「静高は甲子園に行かないといけない高校だと思うので、そのプレッシャーを背負いながら戦って、そこに勝って甲子園に行ってもらいたいです」(山岸)。
絶対王者はさらに強くなり、頂点を奪還する。