【日野】「都立の星」

2013年の西東京大会で準優勝の実績
今夏は全員野球でノーシードからの挑戦

 2013年の西東京大会で甲子園まで“あと1勝”に迫った都立の星・日野。白球を追う選手たちは、夢の続きを追ってグラウンドを駆けていく。

■都立屈指の実力校、悲願の甲子園へ  

西東京を舞台にして確固たる実績を残している「都立の星」だ。西東京では1980年に国立が初の甲子園に出場。以来、西東京から都立甲子園は成し遂げられてはいない。日野は2013年の西東京大会で進撃をみせると準々決勝で明大中野八王子、準決勝で国士舘に勝利して決勝へ進出した。決勝では大声援の中で日大三に挑んだが勝利をつかむことができず準優勝となった。あの夏の戦いは、日野、そして西東京の伝説として刻まれている。日野は2016年秋にも準決勝進出を果たすなど都内で存在感を示す。その後も4回戦、5回戦へ駒を進めて、上位をうかがっている。都立屈指の実力を誇るチームは、悲願の甲子園へ向けて突き進む。

■就任16年目の指揮官  

嶋田雅之監督は2008年夏から日野を指揮して今年で16年目となっている。選手たちを鍛え上げて私学強豪と真っ向勝負する指揮官は、佐々木千隼(2012年度卒業、桜美林―ロッテ)を育て上げるなど指導手腕に定評がある。現在は、就学支援金制度などによって、野球部希望の生徒たちの多くが私学へ入学するケースもあり、都立には逆風が吹く。嶋田監督は、その状況でも虎視眈々と甲子園を狙っていく。昨年度に定年を迎えて再任用となっている指揮官は「2013年に準優勝となったが、もう10年も前のこと。全国的に高校野球が“プロ養成所”のようになってしまっている中で、都立の意地をみせたいと思う」と指導に熱を込める。指導方針は、1日1歩。毎日の練習によって選手たちは一歩ずつ成長、日野野球部は高校野球を通じて努力の大切さを伝授する。

■春都大会は延長タイブレークで惜敗  

今年のチームは、前チームから主軸を打った185センチのスラッガー加藤航太主将(3年=右翼手)と、夏のマウンドを経験した池内英人(3年)が中心となる。昨秋はベスト16へ進出して春のシード権を獲得。春大会は初戦となった2回戦で江戸川に10対0で勝利して3回戦・堀越戦へ。中盤までに3対0でリードし、夏のシード権獲得がみえてきたが、終盤に追いつかれる。白熱のゲームは3対3で延長タイブレークへ突入し、決死の戦いをみせたが5対6での惜敗となった。エース池内は「秋にベスト16で春は延長で負けて3回戦敗退。悔しい思いをしてきたので、夏は勝ち切るピッチングをみせたい」と練習に励む。加藤主将は「今年は、選手の力が拮抗していて全員で戦えるチーム。全員野球で夏に結果をつかみ取りたい」と静かな闘志を燃やす。今夏の東・西東京大会は、都立シード校なしの大会。日野は、野望を胸にトーナメントに朱色の進撃を記していく。

 

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