昨秋にラプソードを導入しデータ把握
潜在能力を把握し悲願の甲子園へ
初甲子園を虎視眈々と狙う日大高は2022年秋にラプソードを導入し、投手陣のデータ計測を開始した。データを結果につなげることで、壁を突き破っていく。
■秋季県大会は4回戦で慶応に敗戦
強豪ひしめく神奈川において存在感を発揮する日大高。過去に甲子園に近づく大会はあったが、聖地へたどり着くことはできていない。昨夏は3回戦でシード横浜商大高と対戦して、永谷陽(2年)と増島漣(2年)の好リリーフによって4対1で勝利。しかし、続く4回戦で三浦学苑に屈した。新チームで迎えた昨秋大会は3回戦で光明相模原と対峙。5回表に1対3とリードされたが、ゲーム終盤に粘り強い戦いをみせて5対4で逆転勝利。4回戦・慶応義塾戦では2回に満塁弾を打たれるなど6点を奪われて結果的には0対7の8回コールドとなったが、決して戦えていないわけではなかった。チームは秋の悔しさを糧に春・夏へ向かう。
■ラプソード導入でチームに変化
秋季県大会後、ピッチング測定器・ラプソード(投手用)を導入した。球速、回転数、回転軸、変化量などを計測し数値化する機器で、近年はプロ野球界だけではなく高校野球でも取り入れる傾向がある。コロナ禍前からタブレットなどを活用してきた日大高は、測定器を取り入れてブルペンに置いた。投手陣は、専門家からフォーム解析説明を受けるなど、データ活用の方法も学んだ。選手たちは定期的にラプソードを使って自身のフォームや球質をチェック、成長につなげている。サウスポー永谷が「(データ計測によって)自分の長所が把握できた」と話せば、右腕・増島は「修正点や課題がはっきりとわかるので、練習のテーマがはっきりする」とトレーニングに励む。
■部員全員が自らを分析し成長
選手たちは、春、夏の進化を誓ってオフシーズンのトレーニングに励む。今年のチームは、永谷、増島のダブルエースをはじめ、玉野颯主将(2年=外野手)、大竹駿涼(2年=内野手)、福吉遥介(2年=内野手)らが前チームからゲームに絡み、実力と経験値を備えている。永谷、増島の投手陣は冬に140キロ超のストレートを投げ込む可能性が十分あり、投手陣は計算が立つ。課題の守備力を強化すれば甲子園がはっきりと見えてくる。就任26年目を迎えた伊藤謙吾監督は「チームの軸が確立されているだけに、勝ち上がれる可能性は十分にある。ラプソードによってデータを把握することが出来てきたが、データだけでは勝つことはできない。データでは測れない“強さ”を養う必要がある」と語る。日大高は、部員全員が自らを分析し成長することで結果をつかむ。