OB監督が再建請負人となって情熱を注ぐ
守り勝つ野球で目指す夏3回戦突破
地域の進学校として120年以上の歴史を持つ榛原。部員減少に悩んだ時期もあったが、「守り勝つ野球」で着実に力を上げ始めている。(取材・栗山司)
■再建を託された吉村監督
榛原は2020年に創立120周年を迎えた伝統校だ。志太榛原地区に根付いた進学校として名を馳せ、国公立大への進学率が高い。 野球部は戦前からの歴史があり、戦後は計3度に渡って夏の大会でベスト8進出。プロ野球選手も輩出している。 チームを率いるのはOBの吉村敏博監督。かつては賑わいを見せた野球部だったが、2018年の就任当初は2学年で部員9人からのスタートだった。練習試合では大敗を喫することも多かったという。再建を託された吉村監督の熱心な声かけで翌年は15人が入部。迎えた2021年は夏の大会で2勝を挙げ、地元住民を久々に喜ばせた。 現在は2年生6人、1年生8人の計14人で活動する。驚くのは充実した施設面。学校から徒歩約10分の場所に専用の野球場があり、左翼95メートル、中堅110メートル、右翼83メートルと公立校と思えない立派なグラウンドを持つ。
■三村杯で3位に
今年のテーマは「有言実行」。「出た課題をしっかり潰して行動に移していきたいと思った」と主将の原崎誠也(2年=内野手)。試合前にその日の徹底事項を確認し、意識レベルを上げて実行していく。だが、秋の大会は初戦の勝利後、2連敗で県大会出場を逃した。新チーム結成直後は攻撃面に不安があったため、「とにかく失点を少なくしよう」と守備に重点をおいたが、守り切れなかった。原崎は「秋の大会時点ではまだ完ぺきにできていない部分があった」と振り返り、こう分析する。「守備が安定していなかったですし、攻撃も打線が繋がらなくて線にならずに負けてしまいました」。 その後は練習試合で浮かび上がった課題を一つずつ修正。昨シーズン終盤の三村旗争奪野球大会では準決勝に進出し、3位に食い込んだ。今村優成と輿石悠斗の1年生バッテリーを中心に「守り勝つ野球」が実を結びつつある。 一方で攻撃は全員が繋いで得点を奪っていく。吉村監督は「秋の終わりになって打線の状態が上がってきた」と手ごたえを感じている。
■オフは体と心を成長
このオフは月曜日と木曜日の週2回のトレーニングで筋力アップをはかっている。また、吉村監督は体力強化と同時に心の成長も促す。「心が成長しなかったら、技術も成長しないし、野球でも結果が出ない」。数値では表すことができない非認知能力を高めようと日々ミーティングを重ねている。 狙うは春の県大会出場、そして夏の大会で3回戦を突破すること。新たな歴史を作る2023年が幕を開けた。