【日大二】 「N.を描く」

春夏6度の甲子園出場を誇る伝統校
今春から28歳の指揮官が采配

 

 春夏6度の甲子園出場を誇る伝統校・日大二。今春、新たな指導体制となったチームは選手とともに次なる歴史をつくっていく。

■新たな体制でスタート  

破壊力の打線を武器にパワフルな戦いをみせている日大二。1982年夏を最後に甲子園からは遠ざかっているが、2009年夏に準優勝を果たし、近年では2020年夏・秋にベスト8へ進出するなど伝統校復活の予感が漂っている。昨夏は3回戦で国士舘と真っ向勝負して敗れたが大会のベストゲームの一つとなった。新チームで迎えた昨秋は、1次予選決勝で修徳と対戦。夏のレギュラー数人が残っていたものの投手陣の整備が遅れて都大会進出を逃す結果となった。選手たちは、秋の屈辱を晴らすべく冬トレへ向かったがインフルエンザなどで練習が中断。そして、田中吉樹前監督の退任が重なり、新たな体制でスタートを切ることになった。

■スローガンは「N.を描く」  

チームを引き継いだのは、田中前監督と共にコーチとしてチームを支えてきたOBの齊藤寛文監督。1994年生まれの「大谷翔平世代」で、日大二時代には主将としてプレーし2012年夏ベスト8。田中前監督からの絶対的な信頼を得ると、中央大時代から母校で学生コーチとして後輩たちを指導。大学卒業後、正式にコーチとなり選手と共に戦ってきた。田中前監督の退任を受けて監督に昇格、助監督には元社会人・いすゞ自動車の坂東寿彦氏が着任している。28歳の齊藤監督は「母校で指揮を任されたことに大きな責任を感じていると同時に、覚悟が必要だと思っています。野球が大好きな選手たちの力を最大限に伸ばしていってあげたい」と指導に励む。スローガンは「N.を描く」。若き指揮官は、「N」(日大二)の伝統を継承して成長曲線を描いていく。

■指揮官のもと一つになるチーム  

選手たちは、この冬、インフル流行などで全体練習が限られて、自宅での自主練習がメインとなった。選手たちは練習再開後に、野球が好きな気持ちをグラウンドで体現して、チームを再起動させた。佐藤慎平主将(3年=内野手)が絶対的なキャプテンシーでチームを盛り上げ、西東京屈指のスラッガー主砲・崎山航輝(3年=内野手)、黒須晴斗(3年=外野手)が打線に迫力をつけている。春は1次予選を突破して都大会1回戦で日大豊山と対戦。初回に4点を先制し主導権を奪ったかに見えたが、ゲーム中盤以降に逆転を許して5対9で敗れた。冬の調整不足が影響した結果だが、選手たちはこの敗戦をしっかりと受け止めて夏へと向かっていく。佐藤主将は「今年のチームは、個性あふれる選手が揃っている。それぞれの力を合わせて夏に甲子園へ行きたい。齊藤監督を男にしたい」と力を込める。このままでは終われない。伝統校・日大二のプライドを懸けた戦いは、“最後の夏”へ向かっていく。

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