13年ぶりの甲子園へ「投打で進化」
「完敗」から這い上がるプライド

春夏通算26度の甲子園出場を誇る名門・帝京。13年ぶりの甲子園を目指すチームは、今夏こそ聖地への切符をつかみ取る。

■昨秋には一次予選決勝で二松に敗戦

昨夏、昨秋の悔しさが名門復活の原動力だ。昨夏の東東京大会では5回戦で岩倉と対戦し、3対6で迎えた9回に2点を奪い逆転への執念を見せたが、1点が届かずに5対6で敗戦。甲子園出場の目標が途絶えた。新チームで迎えた昨秋には、一次予選決勝で二松学舎大附との対戦が決まった。強豪同士が予選ブロックでぶつかる不運なカードとなった中で、二松学舎大附に0対8で完敗を喫して都大会出場を逃した。金田優哉監督は「甲子園に行くためには(二松学舎大附は)どこかで倒さなければいけない相手。その相手に完敗だった。抽選の運が悪かったなどと“言い訳”せずに自分たちに矢印を向けなければいけない」と受け止める。

■帝京復活への道しるべ

金田監督は帝京OB。前田三夫前監督のもとでキャプテンを務め、大学卒業後に2年間会社員として働き、駒大高で1年間指導したのちの2011年4月に帝京コーチとなった。10年間参謀を務めて前田前監督の勇退により、2021年秋から名門の指揮を託された。監督としては3シーズン目を迎えているが、2023年春都大会優勝を果たすなど、各大会で名勝負を演じている。金田監督は「選手の力で勝ち上がることはできているが、自分自身は監督としての甘さを痛感している。帝京は甲子園出場が求められているチーム。“良くやった”では満足できないし、勝つために戦っていかなければいけない」と話す。今春、選手たちに託した言葉は「圧倒」。相手を圧倒する力、気迫でゲームに臨むことを求めている。

■夏に向けて投打充実、いざ甲子園へ

今年のチームは、攻守の大黒柱である西崎桔平主将(3年=内野手)を中心に、表西優志(3年=外野手)ら昨夏を経験したフィールドプレーヤーが揃う。投手陣は、昨年からマウンドに立つ実戦派右腕・小野寛人(3年)のほか、急成長の強心臓右腕・村松秀心(2年=投手)らが力を伸ばす。打線はどこからでも長打が飛び出すパワーを誇示。夏に向けて投打の総合力は上がっている。西崎主将は「1年生ときからずっと悔しい思いをしてきた。この借りを返すには勝つしかない。自分たちの代で甲子園に行って帝京復活を果たしたい」と気持ちを込める。選手たちの力と、名門のプライドが融合したとき「帝京復活」が現実となる。

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