今春一次予選で番狂わせ実演
チーム土台固める東東京ダークホース
大東大一は近年、部員数が増えチームとしての土台が出来つつある。今春の一次予選では下馬評を覆して予選を突破。選手が輝くチームには、大きな可能性が秘められている。
■2015年春以来の都大会出場
“番狂わせ”を積み上げているダークホースだ。2017年夏から2019年夏までの7大会でいずれも初戦敗退となっていたチームだが、大きな光が見えている。そして、2020年秋の一次予選初戦では日本ウェルネスを7対5で撃破し周囲を驚かせた。その秋、主力学年だった2年生は8人しかいなかったが、その選手たちが中心となり実力校に競り勝った。さらに今春の一次予選では初戦で久留米西に18対0で勝利すると、都大会出場をかけた予選決勝では啓明学園と対戦。下馬評では相手有利との見方が多かったが、序盤にリードを奪うと主導権を渡すことなく7対4で勝ち切り、2015年春以来の都大会出場を決めた。チームにとっては新たな一歩だった。
■選手の力を信じた先に
板橋区に校舎を構える大東大一は、学校敷地内には限られた運動スペースしかないため、平日は荒川河川敷、土日などは埼玉県川越市のグラウンドで練習に励む。チームを指揮するのは、埼玉県高校野球名門・春日部共栄出身の宮城智行監督だ。2016年秋に監督となり、当初は自身の高校時代の経験などをもとに情熱指導をしたが、チームは結果を残すことができなかった。さらに、選手の心が離れていくのを感じたという。指導そのものを見直した指揮官は、選手たちの力を信頼してグラウンドに送り出すようにした。すると、少しずつ結果が出るようになり、練習場にも活気が広がった。宮城監督は「選手の力を引き出すのは監督ではなく、選手たち自身。指導者として“やりがい”のある経験をさせてもらっている」と選手たちを見守る。
■選手の個性を活かした戦い
今年4月には3年生19人、2年生14人の部員に、新入生約15人が加わり約50人規模のチームとなった。大東大一は、キャプテンシーと統率力を備える絶対的存在・大澗信斗主将(3年=捕手)を軸に一つになっている。打撃では、広角に鋭い打球を打ち分ける菅原凌(3年=外野手)のほか、福本豪希(3年=外野手)、小山翔大(3年=内野手)らがパワフルな打撃をみせる。投手陣は、最速135キロのエース小池聡太(3年)を軸に、毛塚陽斗(3年)、町田大希(3年)が役割を果たす。春季予選2試合を通じて、登録メンバー20人中17人がグラウンドに立ち、それぞれの個性を活かした戦いによって勝利を手繰り寄せた。2桁の背番号をつけた選手も多く躍動、それがチームの目指すスタイルだ。都大会1回戦では大森学園に0対4で屈したが夏への手応えはつかんだ。大澗主将は「背番号に関係なく全員で戦うのが大東大一の野球。雑草魂を前面に出して、どんな相手にもチャレンジャーとしてぶつかっていく」と力を込める。目指すは、神宮球場、そして甲子園。選手たちは「野望」を胸に、未開の地を目指す。