昨年度に創立100周年の伝統進学校
3年ぶりの校内強化合宿で「ド根性」注入
1949年夏に甲子園初出場で全国優勝を成し遂げた湘南。全国屈指の進学校は今年6月、3年ぶりに2泊3日の校内強化合宿を復活させた。根性を培った選手たちは、この経験を糧に夏へ向かう。
■24時間野球漬けの強化合宿
湘南は夏開幕直前の6月上旬、コロナ感染防止対策を徹底した上で校内強化合宿を実施した。川村靖監督就任からの恒例行事だったが、コロナ感染拡大の2020年度から宿泊合宿は開催できていなかった。今回は周囲の関係者の協力などによって3年ぶりの「校内強化合宿」となった。金曜日の放課後から合宿はスタート。午後6時すぎまで練習を行ったあとに学食で食事。食事を終えた選手たちはそれぞれが自主トレ。その後は体育館での「バスケットボール大会」、体育館を真っ暗にしてろうそくの明かりだけでバットを振る「ろうそく一本 素振り」と続いた。土・日曜日は練習試合などを行いながら共同生活。選手たちは、非日常を楽しみながら野球に打ち込んだ。梅澤駿輔(3年=内野手・投手)は「入学後、初めての経験。このメンバーでの時間を大事にして夏へつなげたい」とバットを振った。
■コロナ禍で選手主体の創意工夫
今年のチームは、横田麟主将(3年=外野手)が軸となり団結している。コロナ禍で時間制限となった中で、選手たちは自分たちで創意工夫。川村靖監督に練習メニューを提案して新たな取り組みを加えていった。横田主将、ムードメーカー梅澤たちは「時間がない中で、何を残していくか、みんなで考えました。自分たちで考えたからこそ、練習をやり抜く責任があると思っています」と話す。昨秋は3回戦で藤沢翔陵に0対3、今春は2回戦で川和に13対15で敗れたが、夏に向けて投打のバランスは整ってきた。打撃は、1番・土井原諒(3年=内野手)、3番・小坂涼太(3年=内野手・投手)、4番・小池隆晴(3年=外野手)が力強い打球を飛ばし、投手陣は小坂、瀬戸駿介の3年生のほか、1年生ルーキー鈴木雄飛が130キロ超のストレートを投げ込む。今年のスローガンは「革新」。横田主将は「全員の力を合わせて新しい歴史を作りたい」と夏を待つ。
■甲子園優勝モニュメント完成
湘南は昨年度(2021)に学校創立100周年を迎えた。春夏計3度の甲子園出場がある野球部は、創部4年目の1949年夏に甲子園初出場で全国制覇を成し遂げた実績を誇る。神奈川県に初めて深紅の優勝旗を持ち帰ったことは、のちの神奈川県高校野球発展の礎となった。創立100周年、野球部創立75周年を記念して、OB会によって昨秋に野球部グラウンド前に「甲子園優勝モニュメント」が建立された。そこには春夏3度の甲子園の戦績、選手名が刻まれている。川村監督は「記念碑には、まだ成績を刻んでもらえるスペースがある。もう一度、甲子園に行って、ここに選手たちの名前を刻みたい。それが応援してくれる人たちへの恩返しになる」と甲子園への思いを馳せる。もう一度、あの場所へ。湘南の選手たちは、この夏、モニュメントに新たな歴史を刻む。