【川崎総合科学】 「夢のタスキ」#川崎総合科学

部員5人からの躍進。2021年秋ベスト16進出
今秋は地区予選1位通過で県大会初戦勝利

 数年前は部員減少によって連合チームで大会参加した川崎総合科学。地域の協力によって部員が少しずつ増えているチームは、大きな夢へ向かって一歩ずつ進んでいく。

■大舞台で自分たちの野球体現  

部員5人からの躍進だ。川崎総合科学は、2017年秋、2018年秋に市立川崎との連合チームで大会に参加している。2018年の秋には、部員が5人になってしまっていた。チーム強化に情熱を燃やす遠藤順久監督は、地域中学校などを回り、学校、野球部の現状を説明。その結果、2019年春に11人の新入部員が加入、2020年夏にベスト32進出を果たした。当時のエース兼4番・加藤隆斗は最速142キロの直球が評価されて、2022年春に独立リーグ高知に入団した。チームは2021年秋にベスト16進出を果たすサプライズ。今夏は2回戦で横浜商と戦い1対5で敗れたものの、横浜スタジアムの大舞台で自分たちの野球を体現した。

■今秋は予選1位通過し県大会勝利  

2000年以降の戦績をみると黒星がズラリと並んでいたが、2019年以降は白星が増えている。今秋の新チームは、2年生5人、1年生14人のフレッシュなメンバーとなったが、地区予選で川崎工科、百合丘、連合(県川崎・幸)との3試合で3連勝して1位通過。秋季県大会出場を決めると、初戦となった2回戦で厚木西に4対3で競り勝って、3回戦進出を決めた。3回戦では桐光学園相手に敗れたが、手応えはあった。遠藤監督は「エース景山浩志郎、ショート田中都羽がそのまま残っていたことで、チームのセンターラインが早い段階で確立できた。足りない部分は多いが、選手たちは本当に頑張ってくれている。野球が好きという気持ちが伝わってくる」と評価する。

■本気で楽しみながら進化  

走攻守の能力とリーダーシップを備えた田中都羽主将(2年=遊撃手)とともにチームをまとめるのは、マネージャーの五十幡妃代(2年)。小学校時代に野球、中学ではソフトボールでプレー。怪我の影響もあり、高校ではマネージャーの道を選んだ。五十幡は、グラウンド全体に響き渡る声でベンチから的確な指示を送り、チームの一員として戦っている。五十幡は「ベンチで自分が出来ることは声を出すこと。選手たちの背中を押していきたい」と笑顔をみせる。チームの大黒柱は、景山浩志郎(2年)だ。前チームからエースナンバーを背負ってマウンドに立ち、力強いピッチングをみせている。1年生も試合を重ねるごとに成長をみせて、投打のバランスが整う。野球を本気で楽しみながら進化を遂げるチームは、2021年秋の16強を超えて、ベスト8以上を目指していく。「自分たちが結果を残すことで、次の学年、その次の学年に夢がつながっていく」(田中主将)。選手たちは、先輩たちから受け取ったタスキをつないでいく。夢のタスキには、大きな価値がある。

 

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