2023年 “2年前の夏”を超えていく
2021年夏8強進出の超ダークホース
淑徳は、2021年夏の東東京大会で進撃をみせて初のベスト8へ進出した。チームはさらなる結果を導くための「変革の瞬間」を迎えている。
■闘争心をインストールしたチーム
淑徳は2021年夏の東東京大会で大きなインパクトを残した。快進撃をみせたチームは4回戦で東京実、5回戦で小岩に勝利して創部初のベスト8へ進出した。個性あふれる選手たちが持てる力を最大限に発揮した戦いは、大きな感動を呼んだ。準々決勝では、優勝校・二松学舎大附に屈したものの堂々たる戦績で大会をあとにした。先輩たちの戦いを継承した昨季のチームも東東京大会で4回戦へ進出し、進化の過程を示した。変化の胎動が生まれる淑徳には今春、先輩たちの活躍に刺激を受けた18人の1年生が入部し、日々の練習から野心をみなぎらせる。進学校らしいクレバーさに加えて闘争心をインストールしたチームは、再び下克上を起こすべく白球を追う。
■東東京屈指の練習環境
上昇気流に乗るチームを指揮するのは、就任15年目となる中倉祐一監督。板橋区にある学校の人工芝校庭と、荒川河川敷、埼玉県坂戸市の淑徳大グラウンドの3カ所で効率的なトレーニングを積んでいる。平日は学校校庭、荒川河川敷で個人練習、週末は淑徳大グラウンドで実戦練習や練習試合を重ねていく。15年前は環境が整っていなかったが学校に打撃ケージやブルペン、トレーニング機器を整備し、練習メニューも工夫を凝らす。淑徳大グラウンドを含めれば練習環境は東東京屈指となっている。中倉監督は「監督就任から15年目になるが、選手たちと共に積み上げてきたものがチームの財産になっている。これまでは進学校のイメージが強かったと思うが、結果が伴ってきたことで勉強も野球もできる環境であることが認知されてきた。2021年夏の準々決勝は五輪の影響で神宮球場開催ではなかったので、神宮球場(ベスト8以上)を目指して戦っていく」と語る。指揮官が求めるのは「決断」。野球に限らず、人生のすべては決断の連続。自分自身で決断できる選手を育てることが、淑徳の使命という。
■全員の力を合わせて8強以上を目指す
現在の部員数は、2年生3人と1年生20人。野球小僧気質の1年生たちを、兄貴分・木暮啓人主将(2年=外野手)がまとめて、チーム強化を図っている。投打の軸はエースの定岡柊太(1年)、打線の軸は余越波弥(1年=内野手)の1年生コンビ。エース定岡は、最速130キロのストレートと、魔球「サダオカーブ」を駆使して打者に向かっていく。余越は、強烈な打球を三遊間へ飛ばし1番打者の役割を果たす。新チームで迎えた2022年秋は一次予選初戦で東亜学園と対戦して4対8で敗れた。1年生主体のチームは序盤にミスなどから失点したが、決して戦えていないわけではなかった。定岡と余越は「秋は自滅してしまったが、チームには自信がある。春・夏は都内を驚かせるような結果を残したい」と次なる大会を待つ。木暮主将は「全員の力を合わせて2021年夏のベスト8を超えていきたい」と力を込める。“2年前の夏”を超えるために必要なのは、神宮(ベスト8以上)を目指すという「決断」と「覚悟」にほかならない。