昨秋の予選を突破し秋都大会初出場
目標は「甲子園出場」、部員全員の挑戦
2022年秋、秋季一次予選を初めて突破し都大会へ進出した豊島学院。高校野球の原点を追求しながら、「勝利」を求めていく。
■昨秋予選で成立学園に勝利し予選突破
選手たちに目標を聞くと「甲子園出場です」という答えが即座に返ってくる。選手たちの意識がチームを劇的に変えている。豊島学院は、2013年夏の東東京大会でベスト16(5回戦進出)などの実績を持つチームだが、これまで秋の予選を突破したことがなかった。昨秋の一次予選は、初戦で成立学園と対戦する組み合わせ。下馬評は成立学園有利の見方が強かったが、エース右腕・井上雄太(2年)が相手打線を封じ込めて2対0でゲームを進めると、6回に打線が爆発して一挙6得点。8対0の7回コールド勝利で難関を突破、予選決勝では山崎に15対4で勝ち、創部初の秋予選突破を果たしてみせた。志村拓篤主将(2年=内野手)は「夏休み中の長野合宿でチームが一つになった。予選を突破できたことで大きな自信をつかむことができた」と振り返る。
■活気あふれる練習グラウンド
都心に位置する豊島学院は、平日は学校屋上などの限られたスペースでティー打撃や羽根打ちなど基礎トレーニングを積み、週末は埼玉県坂戸市の専用グラウンドで実戦練習や練習試合を行っている。週末のグラウンドには活気があふれて、その雰囲気がチームの成長を物語っている。チームを率いるのは、佐久間一樹監督。2013年度に豊島学院に着任しコーチを経て2017年に監督となった。就任直後には1年生入部者が2人になったが、野球を楽しむという原点を軸にチーム改革へ乗り出した。そして「甲子園出場」という目標を設定して選手と共に再建へ取り組んだ。選手たちの“良き兄貴役”となっている佐久間監督は「勝利を貪欲に追求することによって、生徒たちに変化が見えてきています」と手応えを感じている。
■チャンスで一気呵成の攻撃
近年のチーム強化によって選手たちがぐんぐん成長している。これまでの豊島学院は、打撃のチームだったが、今季のチームは、右スリークォーターの絶対エース井上が軸となり、格上の相手と勝負できる投手力を備えている。志村主将、鈴木詠太(2年=捕手)らが打席で勝負強さを発揮し、東東京屈指のムードメーカー小袖悠(2年=外野手)が盛り上げることによってチャンスで一気呵成の攻撃をみせていく。秋都大会では初戦で日大三と対戦して1対11で敗れたが、甲子園レベルを知ったことでチームのやるべきことが明確になっている。志村主将は「どんな相手にもひるむことなく勝利を追求していく。甲子園出場という目標に向かって、部員全員で努力していきます」と胸を張る。2023年、チームには大きな勝利をつかむ予感が漂っている。