〜団結、集結、結成、結束〜
校外活動「No.1プロジェクト」で社会を学ぶ
神奈川屈指の部員数を誇る向上。グラウンド内外の学びを成長につなげるチームは、「結」をキーワードに神奈川の頂点を狙っていく。
■「あと一歩」の差を埋めるために
神奈川高校野球シーンから、初の甲子園出場を狙う向上。悲願の甲子園は、確実に近づいていると言える。向上は神奈川屈指の部員数を誇りながらも3年前までは専用グラウンドがなく、ダイヤモンドほどのスペースで100人以上の部員が練習に励んでいた。2020年6月には待望の新球場が完成。練習環境は一変したが、練習場がないときに世話になったチームへの恩を忘れることなく真摯な姿勢で野球と向き合っている。向上は、2021年秋の神奈川県大会で準優勝を果たして創部初の関東大会進出。甲子園へのルートがはっきりと見えてきた。チームは2014年夏の神奈川大会で準優勝となっているが、甲子園までは「あと一歩」。その一歩がどれほど難しいかは、指揮官、選手たちが一番理解している。「あと一歩」の差を埋めるためにチームは戦い続ける。
■日本一のチームになるために
この冬、チームは3年ぶりに「No.1プロジェクト」を再開した。オフシーズン中に、練習を一日休みにして実行される野球部員の課外活動で、日本一の施設などを見学して、なぜ優れているのかを話し合う内容だ。過去には部員全員でディズニーランドなどへ行っていたが、今年は選手7〜8人のグループ別行動。選手たちは、「東京スカイツリー」や「みなとみらい21」などに出掛けて施設を見学。後日のミーティングでそれぞれの学びをプレゼンテーションで共有して、野球へつなげていく。スカイツリーに行ったという松沢優太(3年=内野手)は「世界一の高さのスカイツリーの施設やスタッフさんの対応などから多くを学んだ。日本一のチームになるために吸収したい」と話す。「No.1」のホスピタリティーやクオリティーを学んだ向上の選手たちは、それらを野球に落とし込んで結果へ変換していく。
■春・夏へ団結する選手たち
2023シーズンのチームは、昨秋県大会3回戦で東海大相模と対戦して3対10で敗れた。出直しを図ったチームは、冬のトレーニング期間に心技体を鍛え上げた。投手陣は、身長186センチの大型右腕・二宮涼太(3年)と、馬力ある実戦派右腕・津嘉山大礎(3年)が成長。自慢の打線は、武富航佑(3年=内野手)、松沢のクリーンアップが勝負強さを発揮する。主戦・津嘉山が「秋はピッチャーで負けてしまったので、春・夏はピッチャーで勝ちたい」と話せば、主砲・武富は「打線のつながりで勝負して勝ち上がりたい」とバットを握る。今年のチームが大切にしている「結」の文字。団結、集結、結成、結束の意味を持つ。遠藤稔弥主将(3年=内野手)は「部員全員が結束することで大きな輪をつくっていきたい」と団結を誓う。向上は、部員の力を結集することで結果をつかみ取る。