1993年の選抜甲子園出場の伝統校
2度目の甲子園へ投打の戦力充実
1993年の選抜甲子園に出場した実績を持つ伝統校・世田谷学園。2026年に創立125周年を迎える学園は、野球部強化によって2度目の甲子園を狙う。
■伝統復活を狙う選手たち
世田谷区三宿の校内人工芝グラウンドに威勢の良い掛け声が響く。1993年春に選抜甲子園出場を果たした伝統校だが、その後は進学へシフトしたため2度目の甲子園には届いていなかった。だが、世田谷学園には文武両道の選手たちが集まり伝統をつないできた。2021年夏にはベスト4へ進出するなど、甲子園を射程圏内に捉えていた。2026年に創立125周年を迎える学園は、今年の2年生の代からスポーツ特別推薦が復活しチーム強化を図る。北村琥太郎主将(2年=外野手)は「125周年に向けて強化を図るチームで成長したかった。自分たちの代で甲子園へ行って、伝統復活を成し遂げたい」と凛とした表情をみせる。
■2026年に創立125周年を迎える
成瀬智監督は駒沢大在学中から学生コーチとして世田谷学園を指導。コーチとして1993年の選抜甲子園を経験、2006年からチームを率いている。2019年からは選抜甲子園に出場したOB鈴木康彦コーチ(責任教師)が、教員として母校に戻り指導体制も強化された。チームは2021年夏ベスト4、2022年ベスト8。今夏は4回戦で国学院久我山に屈したが、ベストは尽くした。新チームは、夏を経験した6選手がそのまま残り、センターラインを軸に継続した戦いが可能となる。成瀬監督は「新チームは練習に取り組む姿勢に優れ、甲子園を本気で目指せる意欲がある。どんな相手にもひるむことなく立ち向かっていける。このチームは怒る必要がないので、(監督として)やることが少ないんです」と微笑む。指揮官が太鼓判を押すチームは、どんな進化を遂げるのか。
■北村主将、主砲・坂本がチームの軸
2025年夏へ向かう世田谷学園は、リーダーシップと情熱を備える北村主将が絶対軸となりチーム一丸となって戦っていく。投手陣は、最速135キロの長身右腕・成瀬哉柔(2年)と、最速139キロの実戦派右腕・杉本倫之介(2年)が軸。攻撃では、1番・中野大輔(2年=外野手)、2番・網野翔琉(2年=内野手)がチャンスを作り、3番・北村主将、4番・坂本勇希(2年=内野手)へつなぐ。高校通算34本(10月1日時点)のスラッガー坂本は「仲間の思いを背負って打席に立って、チームを勝たせるバッティングをみせていきたい」と力を込める。野心をみなぎらせる選手たちは、32年ぶりの甲子園へ突き進む。