通算4度の甲子園出場を誇る名門。
新監督体制で新たなチャレンジ
通算4度の甲子園出場を誇る名門・法政は1984年夏以来、甲子園から遠ざかる。
「名門復活」の野心を秘めるチームは今春、新監督のもと新たなスタートを切った。
(取材・伊藤寿学)
■ 2014年秋都大会で準決勝
プロ野球レジェンド田淵幸一(元阪神、西武)を輩出した名門だ。
「法政一」時代の1960年春、1961年夏、1984年春夏に計4度甲子園出場を果たし1960年春はベスト8へ進出した。
学校は2007年に三鷹に移転し校名を「法政大高」に変更、練習環境も変わったが、野球部の選手たちは伝統を胸にグラウンドに立っている。
近年でも2014年秋都大会で準決勝進出、2017年夏の西東京大会5回戦で早実と対戦するなど、上位に顔を出す。
甲子園への野心を秘める法政は、2020年1月に長くチームを率いた植月文隆前監督から、佐相健斗新監督へタスキが引き継がれた。
装い新たに練習に向き合っている。
■ スイングチェックで課題克服
名門の指揮を預かった佐相監督は、神奈川・県相模原を率いる公立名将・佐相真澄監督の息子。
大学卒業後に法政大高コーチ、法政中監督を経て、チームを任された。
指揮官は、植月前監督のベースを踏襲しながら、新たなエッセンスを加えて、指導に情熱を燃やす。
佐相監督は、父の打撃理論を自分流に解釈し、選手に伝えている。
打撃には特に力を入れている。
チームは練習中に「スイングチェック」の時間を設けている。
選手それぞれがスマホで動画を撮影し、トップやヘッドの位置、軌道などを確認。
選手たちが自己解析し、課題を克服していく。
佐相監督は「自分に合ったスイングを確立させてほしい」と見守る。
選手たちはこの冬、徹底した足腰強化に取り組み、それぞれの打球の質に変化がみえている。
この春は、新生・法政の迫力の打撃がベールを脱ぐ。
チームは、寺中陸人主将(2年=内・外野手)、利田壮平副将(2年=捕手)、田中陽大副将(2年=内・外野手)が軸となっている。
さらに俊足巧打の小林吹綺(2年=外野手)、出田航大(1年=内野手)らが実力を示す。
投手陣は、経験豊富な黒坂夏希(2年)、春日駿太(2年)、林宏樹(2年)が安定した投球をみせる。
昨秋は1次予選1回戦で駿台、同決勝で順天を下して都大会へ。
だが、初戦で帝京に屈した。
黒坂、春日、林の投手陣は「コーナーを突いたボールが打たれてパワーの差を感じた」と明かす。
寺中陸人主将は「夏の西東京で勝ち上がるには、帝京レベルのチームを倒さなければいけない。
練習でその差を詰めていかなければ、甲子園にはいけない」と練習に励む。
佐相監督は「やりがいある仕事を任せてもらったことに感謝している。
選手たちには伝統にとらわれず、多くのことにチャレンジしてほしいと思う」と勇気付ける。
28歳の新監督と、可能性ある選手たちの戦いは始まったばかりだ。
法政大学高等学校
【学校紹介】
住 所:東京都三鷹市牟礼4-3-1
創 立:1936年
甲子園:4回(春2回・夏2回)
市ヶ谷で創立し、吉祥寺へ移転。
当時は法政一高だった。
2007年に「法政大高」に校名変更し、三鷹に校舎を移した。
野球部は計4度の甲子園出場を誇る名門。
主なOBに田淵幸一(元プロ野球)。