昨秋の台風被害からグラウンド復旧。
グラウンド開き直前にコロナ緊急事態宣言
白鴎大足利は昨年10月の台風によってグラウンドが浸水した。
学校や地域の協力によって4月に復旧したが、無情にもコロナ感染拡大により練習ができなくなった。
6月から練習を再開した選手たちは、野球ができる喜びを胸に、代替大会へ向かう。
2020年8月号掲載
■ 相次ぐ試練
昨年10月、台風19号の大雨により、白鴎大足利練習グラウンドがある渡良瀬川河川敷が浸水、練習場がのみ込まれた。
1・3塁ベンチの天井まで水が押し寄せて、水が引いたあとのグラウンドは一面が泥で覆われていた。
信じられない光景に、選手たちは呆然としたという。
グラウンドが使用できなくなった選手たちは、河川敷の土手や室内練習場などで地道なトレーニングを積んだ。
一方でグラウンド改修工事が進み、4月9日に「グラウンド開き」が行われる予定だった。
しかし、その2日前の4月7日にコロナ感染拡大によって緊急事態宣言(東京都など)が発令され、その影響で練習は中止となり、選手寮も一時解散となった。
高瀬翔太主将(3年=内野手)は「やっとグラウンドで練習できると思った日に練習がなくなり、これからどうなってしまうのだろうという気持ちでした」と話す。
■ 1年生大会初優勝の最強世代
今年のチームは、2年前の1年生大会で初優勝した期待の世代だった。
2018年の1年生大会準決勝で作新学院を下すと、決勝・青藍泰斗戦は1対0の完封リレーで頂点に立った。
高瀬、中山朝晴(3年=投手)、白石雄大(3年=内野手)らは昨夏大会にも主力として出場した。
しかしながら、1回戦で黒羽に0対1で敗退となり、悔し涙を流した。
雪辱を期して挑んだ新チームでの秋大会は2回戦で国学院栃木を4対3で下すとその勢いで準々決勝へ進出。
文星芸大附と真っ向勝負したが、2対6で屈した。チームは秋の手応えと課題を持ち帰り、春・夏へ向けて力を蓄える準備を進めた。
しかし、台風被害とコロナ禍によって、野球ができる環境が消えた。
■ 代替大会で自分たちの力を示す
チームは6月中旬から段階的に学年別の練習をスタートした。
選手たちは、改修されたグラウンドでボールを追い、打球を飛ばした。
チームは、経験豊富な3年生に加えて、主砲・森下陽介(3年=内野手)、最速142キロの2年生右腕中沢匠磨らも台頭、投打の迫力が増している。
エース中山が「僕たちの代は1年生大会で優勝して、自分たちの代で甲子園へ行きたいと思って練習してきました。甲子園大会はなくなってしまいましたが、代替大会では力があることを証明したいと思います」と話せば、高瀬主将は「多くの方々の支援によって僕らは野球ができています。
甲子園に行くことで恩返しがしたかったのですが、甲子園大会がなくなってしまった。
代替大会を含めて1日1日を大切にして感謝の気持ちを伝えたいと思います」と、最後の夏へ立つ。
白鴎大足利は困難を乗り越えて、さらに強くなる。
白鴎大学足利高等学校
【学校紹介】
住 所:栃木県足利市伊勢南町3-2
創 立:1915年
甲子園:4回(春1回・夏3回)
野球部は過去4度の甲子園出場。最近のOBプロ野球選手に、北浦竜次(2017年日本ハム5位)、大下誠一郎(2019年オリックス育成6位)