初甲子園狙う公立強豪。
髙田繁新監督のもと新たな時代へ
伊勢崎清明は今年4月、齊藤宏之監督が異動(大間々教頭)となり髙田繁新監督となった。
コロナ禍での監督交代となったが、チームは新たな一歩を踏み出した。
今夏の甲子園大会は消えたが、選手たちの野望は変わらない。
2020年8月号掲載
■ 齊藤宏之監督が今春に勇退
コロナ禍中に、伊勢崎清明は新体制となった。
2012年夏4回戦で選抜4強・健大高崎を撃破、2014年夏には初準優勝に導くなど公立強豪に成長させた齊藤宏之監督が、今春に大間々教頭として異動。
桐生西を率いていた髙田繁監督が後任となった。
髙田監督は「清明は、自主性、のびのび、スマイルなど、自分が目指す野球のスタイルが確立されていて、学ぶべきことが多いチームでした。県内トップレベルのチームを任せてもらえて、ワクワク感しかありませんでした」と話す。
桐生西をベスト8へ導いた実績を持つ若き指揮官は、齊藤監督の土台を引き継ぐべく新天地にやってきたが、コロナ禍で部活動は休止。
選手たちに会えないまま始動となった。
髙田監督と選手たちは、健康管理アプリなどを利用してコミュニケーションを図ったという。
■ 昨秋は育英に敗戦の確かな手応え
今夏の伊勢崎清明は、大きな可能性を秘めたチームだった。
2年生からレギュラーだった大型遊撃手の長瀬晴人主将(3年)を軸に、攻守のキーマンが揃っている。
投手陣は、左腕・加川航平(3年)と、伸びしろ十分の本格派右腕・清水智仁(2年)の2枚が中心。
打撃は、長瀬主将に加えて、飯塚慎之助(3年=外野手)、中澤郁哉(3年=内野手)らが迫力の打球を飛ばす。
昨秋は渋川工、館林商工、富岡に競り勝ち、準々決勝で前橋育英と対戦した。
加川から清水への継投で粘りの戦いをみせたが、終盤の反撃が届かずに4対6で惜敗した。
選手たちは、その敗戦から確かな手応えを感じてオフシーズンへ突入、フィジカル強化に励むことで春、夏に備えた。
しかし、3月から休校に。選手たちは「最後の夏」を信じて自主練習に励んだ。
■ 真剣勝負で臨む代替大会
無情にも甲子園へ続く大会は中止となった。
現実を受け止めたチームは6月中旬から本格的に練習を再開した。
今春は、コロナ禍で監督が代わり、髙田監督の所信表明も無いまま2カ月以上が過ぎていった。
そんな状況でも、選手たちは、SNSでコミュニケーションを図りしっかりと自主練習に取り組んでいたという。
初の甲子園を狙った「幻の最強世代チーム」は、代替大会優勝を目標に再設定し、次なる一歩を踏み出した。
新指揮官は「甲子園大会はなくなったが、代替大会では、これまで積み上げてきたもの、親への感謝を自分たちのプレーで伝えてほしい。
生徒たちは、緊張感を持って切磋琢磨してくれているので、思い出作りではなく真剣勝負で臨みたいと思います」と特別な夏へ送り出す。
「幻の最強世代」は、代替大会の頂点に立つことによって、甲子園への夢を次世代へ託す。
伊勢崎清明高等学校
【学校紹介】
住 所:群馬県伊勢崎市今泉町2-331-6
創 立:1915年
甲子園:なし
もともとは伊勢崎女子高。2005年に共学化となり伊勢崎清明に校名変更。野球部は校名変更とともに創部。当初は数人のスタートだったが、齊藤宏之監督のもと2014年夏には県準優勝。県屈指の公立強豪に成長した。齊藤前監督は2019年度で退任し大間々高教頭。