選抜切符獲得も中止となった「甲子園」
全国制覇の夢、コロナ禍に消える
健大高崎が決勝で桐生第一に敗れて準優勝となった。
明治神宮大会優勝、選抜中止、コロナ休校、そして最後の夏…甲子園を目指して駆け抜けた激動の1年間が終わった。
2020年9月号掲載
■ 昨秋は明治神宮大会準優勝
昨秋の快進撃がよみがえる。
秋県大会は3位だったが、関東大会が地元開催だったため3位通過。
関東大会では、東海大相模、山梨学院など関東強豪を次々となぎ倒して優勝を成し遂げた。
進撃はまだ止まらない。
各地方の覇者が集まる明治神宮大会でも接戦を制して決勝へ進出。
決勝戦では中京大中京に3対4で敗れたが、堂々の全国大会準優勝。
当確となっていた選抜での「全国制覇」の夢が膨らんだ。
コロナ禍でも当初は選抜開催の見込みだったが、一転して選抜が中止。
さらに、夏の甲子園も中止となった。
その都度、取材に応じた戸丸秦吾主将(3年)は、無念の思いを抱えながら、代替大会優勝へ気持ちを切り替え、今夏へ臨んだ。
■ 県大会を制覇がミッション
プロ注目の本格派左腕・下慎之介(3年)、 身長191センチの大型右腕・橋本拳汰(3年)、扇の要・戸丸主将を擁するチームは、優勝候補本命。
安中総合、太田東、常磐を下して準々決勝まで突破すると、準決勝では4連覇中の前橋育英を総力戦の末、11対9で下して決勝戦へ駒を進めた。
決勝では、ともに今春選抜出場予定だった桐生第一。
選抜甲子園の舞台が消えるという事態を経験した両チームの対戦となったことも、偶然ではなかった。
選抜の代替試合として1試合のみの甲子園交流戦が開催されることになったが、県大会を制して聖地へ向かうことがミッションとなった。
■ あと一本に泣いた決勝戦
健大高崎は、県制覇を目指してエース下をマウンドへ送り込んだ。
ゲームは2回に2点を先制されたが、3回に橋本脩生(3年)、4回に古滝友哉(3年)の適時打で同点に追いつき、試合は反撃ムードで6回へ向かう。
しかし、その回、下が桐生第一・星野綜汰に満塁弾を浴びて、2対6と突き放される。
健大高崎は8回に1点を返して、最終回へ。
9回2死から、代打安齋駿斗(3年)の2塁打などでチャンスを作ると、執念の攻撃で2点を返して食らいつく。
一打同点のチャンスとなったが、あと一本が出なかった。エース下は涙をぬぐい、青柳博文監督はベンチでじっと敗戦を受け止めた。
今年のチームには大きな可能性が秘められていたが、春・夏ともに甲子園大会が中止となり、全国制覇の夢はコロナ禍に消えた。
甲子園で勝ち上がるチームの姿が、見たかった。