新指揮官と共に目指す県優勝
貪欲な姿勢で学び続ける選手たち
横浜清陵は2014年夏の神奈川大会で5回戦、2018年南神奈川大会で4回戦に進出するなど地力をみせる。
2020年秋からは、前大師指揮官の野原慎太郎監督が就任、新たなチャレンジに乗り出している。
■目標は神奈川県優勝
神奈川に新たなストーリーが生まれようとしている。
東海大相模、横浜国大出身の公立指揮官・野原監督の新天地は、横浜清陵だ。大師時代は、部員不足のチームを公立強豪に押し上げ、2020年春に横浜清陵へ。同年夏の新チームから指揮を執る。新天地では肩の力が程よく抜けて選手たちに寄り添っている印象だ。指揮官就任後、選手たちとのミーティングを重ねる中で、チームの目標が「神奈川県優勝」に決まったという。ノックバットを握る野原監督は「いまは、選手たちのために指導しています。それがすべてかもしれません。優勝が目標と決まった以上は、全力で付き合っています。僕が経験してきたことを全部伝えたいと思っています」と話す。江藤温大主将(3年=内野手)は「監督は、僕たちに新しい世界をみせてくれています。すべてを吸収して力に変えていきたいと思います」と信頼を寄せる。戦いの準備は整った。
■コロナ禍で育んだ結束
選手たちは結束している。コロナ禍で週末の練習ができないときは、選手同士で起床時間を決めて、それぞれの場所で同時刻にトレーニングを開始しメニューをこなした。コロナ禍でもチームのつながりを求めた。貪欲な姿勢で学び続ける選手たちは、「野球ノート」で野原監督に意見をぶつけて指導を仰ぐ。指揮官は「“打てば響く”選手たちと同じ時間を過ごせることが一番のやりがいです。まだ半年だが、選手たちは心身ともに急成長していると感じる」と手応えを語る。
野原監督就任直後の昨年8月、チームは甲子園交流戦前の東海大相模と練習試合を行い0対10で敗れた。今春の練習試合では3対8と得点差を縮めることができたという。昨秋は予選で瀬谷西に敗れて本戦出場を逃したが、今春は予選3試合をすべてコールド勝ちしてみせた。江藤主将は「チームの課題を一つひとつクリアして負けないチームになりたい。それぞれが理想に近づくことで最高のチームで夏へ向かう」と気持ちを込める。
横浜清陵を舞台にした物語が、幕を開ける。