公立屈指の実績を誇る伝統校
3年生6人がチームの軸
強豪ひしめく神奈川のトーナメントで確固たる実績を残す川崎北。今年の3年生は6人(女子マネージャー2人含む)だが、チームは一体となっている。6人の意志が夏躍進の原動力になる。
■2012、2015年秋ベスト8
公立の雄だ。1990年に河原純一(元巨人)を擁して夏の神奈川県大会でベスト4進出を果たし、2007年秋ベスト4、2012、2015年秋ベスト8の実績を残している。歴代では、神奈川県立高のカリスマ佐相眞澄監督(現県相模原)、神奈川工を甲子園まであと一歩まで導いた西野幸雄監督と神奈川を代表する公立名将たちがこのチームを率いてきた。そして2019年秋から指揮を執っているのが川村太志監督だ。湘南を率いる名将・川村靖監督の長男。若き指揮官は、野心を持ちながら神奈川のトーナメントに挑んでいる。
■偉大なる父親の存在
偉大なる父親。「親父の力を借りている、と言われるのが嫌だったんです」(川村監督)。当初は、比較されるのが嫌で、神奈川県以外の教員になろうと思っていた。しかし、気づけば神奈川の道を選択していた。光陵を経て川崎北へ。自身も親となったことなどから父親の見方が変わってきた。川村監督は「同じ教員、監督の立場になることで、父親が身近な存在になりました。父の野球は、良い意味でこだわりがなく、選手の特長に合わせたチームを作っているという印象です。オーソドックスに、当たり前のことを当たり前にやる。監督として学ぶべきことは多いと思います」と話す。
父は神奈川で共に戦う同士だ。
■チャレンジャーとして戦うだけ
2019年に入学した今年の3年生選手は、4人のみ。学校の監督交代などの影響で、この代だけ人数が減ってしまっていた。川村監督は2019年秋から指揮を執っているが、選手に寄り添いながら共に成長してきた。コロナ禍なども乗り越えてきただけに、思い入れも強いという。昨秋は初戦で立花学園に敗戦。春は地区予選1勝2敗で、県大会出場はならなかった。指揮官は「まだ結果は出ていないがチーム力は上がっている。あとは投手力が課題です」と現状を話す。丹羽純信主将(3年=投手・外野手)は「3年生は少ないですが一体となって戦うことで、チームは成長できています。それぞれが役割を果たせば勝利は見えてくる。チャレンジャーとして戦っていきます」と、最後の夏へ向かう。
2年半という時間を駆け抜けてきた3年生の思いと努力が、夏のチカラになる。