サイコロジカルベースボール
部訓は「丹念 執念 情念」
2012年春に選抜甲子園へ出場した実績を誇る伝統校・高崎。部訓は「丹念 執念 情念」。高崎の伝統は時代を越えて継承されていく。
■伝統校のプライドを体現
1981年、2012年春の選抜大会に出場した高崎。文武両道進学校は、2016年秋、2017年春にベスト4へ進出。近年も実力校相手に好勝負を演じるなど各大会でプライドを示してきた。部訓は「丹念 執念 情念」。「丹念」は一球一球にこだわること、「執念」は一球一球を突き詰めること、「情念」は一球一球に思いを込めること。2006年からチームを率いたOB指揮官・境原尚樹監督が選手たちと共に考えて掲げた言葉だ。境原監督は「野球がうまい選手を育てるのではなく、野球人を育てたい」と話す。選手たちは、この部訓を原点にして野球に打ち込んできた。
■サイコロジカルベースボール実践
2022年夏へ向かうチームをまとめるのは、村松健心主将(3年=右翼手)。チームスローガンは「サイコロジカルベースボール」。相手の心理を読んで、最善手を打ち込んでいく。新チームの初陣となった2021年の秋季大会は初戦で市立太田に敗れた。選手たちは巻き返しを誓い、冬のトレーニングに臨んだが、コロナ禍で練習が完全休止。境原監督は、生徒たちに動画やデータ資料などのヒントを送り、選手たちをサポート。選手たちはオンラインでミーティングを実施、学年の枠を越えて様々なテーマを設けて、野球の本質を追求していった。これまでとは違う“冬”になったが、選手たちは、粘り強く戦う「後半の高崎」を体現するため努力を続けた。村松主将は「自分たちの代はコロナの影響を受けていると言われるが、それを言い訳にしたくない。逆境だからこそ、結果を残していきたい」と力を込める。
■誇りを胸にグラウンドに立つ
2022年4月、チームには変化があった。境原監督が中央中等に異動となり、前桐生指揮官の髙島喜美夫監督がチームを引き継ぐことになった。境原前監督の存在は大きかったが指揮官が替わってもやるべきことは同じ。選手たちは、境原前監督の教え、高崎の誇りを胸にグラウンドに立つ。髙島監督は「高崎の伝統と、境原監督の言葉の数々を引き継いで、伝統にふさわしい戦いをみせたい」と語る。選手たちは、境原前監督の教えを道しるべに、春、そして夏へ向かう。