【静岡学園】 「勝利へ向けて」 #静岡学園

名門出身監督が基本から指導
経験値の高い代が公式戦勝利を目指す

 サッカー部などの活躍で全国にその名を轟かせる「静学」だが、グラウンドにはひたむきに白球を追う球児たちの姿がある。再びの甲子園出場を目標に、日々の基礎固めから取り組んでいる。(取材・栗山司)

■看護師を経験した異色の監督  

前チームは公式戦で白星を掴むことができなかった。3年生は4人のみ。下級生主体のメンバーで秋春はともに1試合で終わり、夏も常葉大菊川に5回コールド(1対13)で敗退した。  「新チームの2年生は経験値があるので、それを生かしてほしいです」  2020年秋から指揮をとる久米千春監督はそう期待を込める。  名門・愛工大名電(愛知)出身で甲子園の土を踏んでいる久米監督。大学卒業後は看護師となり、病院に勤務。高校野球の指導者として珍しい経歴を持つ。  

そんな指揮官がテーマに掲げるのが、当たり前の打球を当たり前にさばくこと。そして、カバーリングを怠らないこと。「特別なプレーはしなくてもいいので、ミスしたあとのプレーができるように。ダブルエラーはなくしたいと思っています」。  

一方の攻撃は全力でバットを振り抜き、出塁したら果敢に盗塁を仕掛けていく。「足を使って点を取ることに関しては、この3年間でだいぶ浸透してきている」と手ごたえを感じている。

■狭いグラウンドで工夫して練習  

学校内のグラウンドは他部活動との兼ね合いで、内野と左翼しか使用することができない。久米監督は就任当初、自身の高校時代の環境を思い出しながら、「どうすれば効率的な練習ができるのか」と悩んだという。導き出した答えが割り切ることだった。日々はゲージの中での打撃、左翼周辺でのノック、ウエイトトレーニングの3班に分かれる。時間で区切ってローテーションで回し、個々の能力のレベルアップに時間を費やす。  

幸いにも週に数回は、近隣の球場を借りることが可能で、その際に全体の実戦練習を組み入れる。久米監督が「今は環境的に困っていない。工夫していれば苦にならない」と話せば、主将の宮﨑斗矢(2年=内野手)は「グラウンドをフルに使えなくても、細かい練習はできる」と決して言い訳はしない。

■歴史の扉を開く  

今秋は中部地区大会の初戦で藤枝明誠と対戦。初回、2回に2点ずつ献上し、7回コールド(1対8)で敗れた。投手の制球が定まらなかったこと、チャンスであと一本が出なかったことが反省点に挙げられた。「去年から出ているメンバーが多いですが、基礎から作り直して、一人一人の能力を高め、チーム全体の実力をつけないと勝てないと思っています」(宮﨑主将)。  

目標に掲げているのは1971年以来となる甲子園出場だ。野球だけでなく、日々の生活も大切にしている静岡学園。応援されるチームを作り上げ、半世紀以上に渡って閉ざされてきた扉を開く――。

 

 

 

 

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