「WBC優勝の軌跡」講演会
侍ジャパン前監督 栗山英樹 氏

WBC優勝指揮官
「子どもたちに輝いてほしい」

今年3月に開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で優勝を果たした侍ジャパン前監督・栗山英樹氏が9月6日、群馬県桐生市で「WBC優勝の軌跡」と題して記念講演を行った。会場となった群馬県・桐生文化会館シルクホールには満員の約1500人が足を運び、レジェンド指揮官の言葉に耳を傾けた。  講演会は2部制で1部は栗山前監督の講演。侍ジャパンの舞台裏やダルビッシュ有や大谷翔平、佐々木朗希らスター選手の立ち居振る舞い、チームマネジメントなどについて語った。2部は「栗山英樹氏と考える野球×まちづくり」のテーマで、荒木恵司桐生市長、中村聡宏日本スポーツマンシップ協会代表理事らと、野球振興や地域活性などについて語り合った。  栗山前監督は、飛田穂洲さん(日本の学生野球の功労者)の『野球とは無私道なり』という言葉に言及。「野球はバントやカバーリングなど自分のためではなくチームの勝利のために自分自身を犠牲にするスポーツ。いまの時代だからこそ、そういう気持ちが大切。自分自身を犠牲にする気持ちがWBC優勝につながった」と語った。そしてシンポジウムでは、栗山氏が北海道栗山町民と共に造った手作り野球場「栗の樹ファーム球場」を紹介。「アメリカにある『映画フィールド・オブ・ドリームス』の球場を見学したときに、そこで遊んでいた様々な国の子どもたちが一緒に野球を始めた。環境があれば、世界の人たちが国境を超えて手をつなぐことができる。私たち大人には環境を準備する責任がある」(栗山前監督)。  講演会後には、会場に来ていた小学生・中学生を壇上へ招き、記念撮影を行った。講演後にメディアの取材に応じた侍ジャパン前監督は「子どもの数が減っている中で、野球をする環境が少なくなっている。僕は、野球を通じて多くを覚えて成長させてもらった。野球の魅力、面白さを伝えていきたい。WBCで監督をさせてもらいましたが、選手たちは輝いていた。子どもたちにも輝いてほしいなと思います」とメッセージを送った。

PROFILE
1961年4月26日東京都生まれ。創価高―東京学芸大・大学卒業後の1984年、ヤクルトにドラフト外入団。ヤクルトで1984〜1990年までプレー。現役引退後は野球解説者などを務めて2012〜2021年まで日本ハムファイターズ監督。2021〜2023年侍ジャパン代表監督。2023年WBC優勝。

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