「自覚」からの「しぶとさ」で8強入り
今秋都大会ベスト8進出を果たし、東京都・21世紀枠推薦校にも選ばれた日大二。
文武両道の中で確かな自信を掴み、1982年夏以来の甲子園出場へ向けてさらなる進化を誓う。
(取材・三和直樹)
■ 充実のベスト8進出
強豪揃いのトーナメントを力強く勝ち上がった。
今秋、ブロック予選2試合で24得点を奪った日大二は、1回戦で夏の東東京大会2年連続準優勝の小山台と対戦。
雨が降り、足元がぬかるむ中で4点を先制される展開となったが、「このチームはしぶとい。
負ける気はしなかった」と田中吉樹監督と振り返る。
その言葉通り、泥だらけになりながらも10対7でシーソーゲームを制すと、続く2回戦では桜美林を6対1で下し、さらに3回戦では日本ウェルネスを9対4で撃破した。
迎えた準々決勝では、創価を相手に終盤に守備の乱れから同点に追い付かれ、最終的に2対6で敗れた。
だが、6回まで2対0でリードし、「他にもチャンスは多くあった。
あと1本出ていれば結果は変わっていた」と田中監督。
決して力負けしたという感覚はない。
エースで4番の折笠利矩(2年)を中心に“打ち勝って”のベスト8進出。
確かな手応えを得た「充実の秋」だった。
■ 「自分のことは自分でやる」
近年のチームの礎は「体作り」にある。
「打てないと勝てない。
まずは体を鍛える」と田中監督。
ZETT社の「身体能力測定評価システム」で自分たちの能力を数値化した中で、数年前からウエイトトレーニングの強度を上げ、徹底した肉体強化で打撃力をアップ。
2017年夏にはベスト4進出も果たした。
しかし、今年の新チームを見て「何かが足りないと思った」と田中監督は言う。
そこで改めて自身の指導のモットーである『挨拶』、『返事』、『時間を守る』の3つを強調。
8月1日から2泊3日、焼津で実施した遠征合宿では、これまでの大部屋での団体行動をやめ、ビジネスホテルのシングルルームに宿泊。
「自分のことは自分でやること」と出発の時間だけを決め、起床、朝食など、すべての準備を各自に任せた。
「寝坊する奴やカードキーを部屋に置き忘れる奴もいた(苦笑)」というが、普段の生活から自分自身の行動に責任を持たせて自覚を促すことで、徐々に練習への取り組み方も変わった。
そして8月後半から練習試合でも「しぶとい戦い」を展開。
序盤で大量失点しても諦めずに戦い、終盤には追いつく粘り強さ、実戦での勝負強さを身に付けていった。
■ 競争の中でさらなる成長を
現部員は2年生25人、1年生19人の計44人にマネージャー3人。
キャプテンは現在3人体制。
練習をA・Bの2班に分けているが、毎週のようにメンバーを入れ替え、チーム内での激しい競争でチーム力の底上げを図っている。
同校OBであり、日大二を率いて15年目になる田中監督は、「問題は守備。
バッテリーは比較的しっかりしているけど、外野が決まっていない」と課題を挙げるが、「バッティングは今のままやって行けばいい。
冬の間に急成長する選手もいるので楽しみ」と期待する。
スポーツ推薦がなく、進学校でもある日大二。
ゼロベースからの体作りにはどうしても時間を要し、「ここ数年秋は勝てない」と言う。
夏ベスト4進出を果たした2017年のチームも、秋は1回戦敗退だったのだ。
それだけに現チームの今後の成長が楽しみでならない。
「目標はもちろん甲子園です」と田中監督。
その道筋は、しっかりと見え始めている。
日本大学第二高等学校
【学校紹介】
住 所:東京都杉並区天沼1-45-33
創 立:1927年
甲子園:6回(春2回・夏4回)
男女共学の私立中高一貫校。
日本大学だけでなく、早慶上理などの有名私大や国公立大への進学実績が数多くあり、部活動も盛ん。
野球部のほか、チアダンス部も強豪として知られる。
教育理念は「信頼敬愛」「自主共同」「熱誠努力」。
野球部の練習グラウンドは立川市柏町にある。