2022年夏の西東京大会ベスト4進出
女子マネキャプテンが率いる都立強豪
2022年夏にベスト4へ進出した実績を持つ富士森。今秋から若き指揮官が就任したチームは、女子マネージャーを主将に据えて甲子園を狙っていく。
■雑草都立のたくましきDNA
富士森は2022年夏に超進撃をみせた。4回戦で聖パウロ学園、5回戦で駒大高に勝利し周囲を驚かせたが、神宮球場での準々決勝で優勝候補・日大鶴ヶ丘を撃破し大金星を奪い取った。その試合では、事情により校歌音源が準備できずに、高野連の配慮によって吹奏楽部の生演奏で校歌を歌うという“粋な演出”となった。準決勝で日大三に屈したものの堂々のベスト4となった。今年の2年生は、4強進出をみて入学してきた選手たち。1年生も硬式強豪チーム出身者が増え、選手レベルは確実に上がっている。今夏は初戦(2回戦)で、プロ注目・森井翔太郎を擁する桐朋と対戦し、多くの観客、メディアが押し寄せた中で9対2と勝ち切ってみせた。富士森には、雑草都立のたくましきDNAが宿っている。
■哲学を持った選手になれ
今夏大会後に、指揮のバトンが次世代へ託された。ベテランの廣瀬勇司前監督が勇退を決意し、新チーム始動時に合わせて日野出身の西田拓史監督へバトンを渡した。現在の部員は2年生15人、1年生24人と西東京都立としては最多クラス。廣瀬前監督は「良い状態だからこそ若い世代へチームを渡したかった。これまでのチームに捉われず、西田監督が目指すチームを創ってほしい」とエールを送る。西田監督は、選手とオンラインツールでコミュニケーションを取りながらアドバイスを授ける。社会科教員の若き指揮官はチームウェアの胸元に「philosophy」の文字をデザインし、「それぞれが哲学を持った選手になってほしい」との思いを込めた。意志あるところに道あり。富士森の選手たちは、強い気持ちで甲子園を目指す。
■投打のポテンシャルは史上最高
今季のチームのキャプテンには、マネージャーの勝部花凜(2年)が選出された。西田監督は「選手、マネージャーの枠を外して日頃の取り組みをみたときに、リーダーに一番ふさわしい人材を選んだ。負けず嫌いで、愚直に頑張れる」と説明する。勝部主将は「最初は『えっ!』と思いましたが、選手のサポートによって役割を果たすことができています。自分はプレーできないので、チームが勝利に向かって一つになれるように精一杯努力していきたいと思います」と話す。ダイヤモンドでは、主軸の小牧柊太(2年=内野手)がゲームキャプテンとしてプレー面をまとめる。秋大会は主力に怪我人が重なり予選敗退となったが、投打のポテンシャルは2022年夏に負けない力を秘めている。哲学を持つチームは常識に捉われず、新たな道を切り拓いていく。