
投打&気力充実、初の夏甲子園へ団結
「勝てる組織」へ変貌を遂げるチーム
2021年春準優勝で関東大会に出場するなど、戦国・上州で確固たる実績を残す関東学園大附。「全員野球」に徹する選手たちは、チーム力を高めることで「勝てる組織」を目指していく。
■戦国上州で結果を残す「東毛の雄」
楽天・岡島豪郎や現ヤクルト育成・西濱勇星らプロ選手を輩出してきた関東学園大附。2017年秋、2018年春、2021年春準優勝で関東大会出場。2018年夏、2019年夏にはベスト4へ進出している。2021年のメンバーでは、石原勇斗、篠原正紀のダブルエースが140キロ超をマークするなど、プロ野球スカウト陣の注目を集めると共に、投手育成のトレーニング方法も脚光を浴びた。選手の能力向上に伴い、健大高崎や前橋育英の牙城を崩す日も近いと期待されていた。しかし、コロナ禍による高校野球の環境・練習の変化などの影響もあり、甲子園には届いていない。
■応援されるチームになる
羽鳥逹郎監督は、早稲田大4年時に関東学園大附で教育実習を受けたことが縁でチームを率いることになった。上州名将たちとの戦いから野球の奥深さを学んできた指揮官は、2017〜2018年にかけて選手を鍛え上げることによって、関東学園大附を群馬トップレベルのチームに進化させてきた。ただ、選手たちの努力によって「強いチーム」にはなったものの「優勝にふさわしいチーム」までにはなれなかったという。羽鳥監督は「コロナ禍前にはトレーニングによって選手個人の能力を高めることはできましたが、勝てる組織にはなりきれていなかったのかなと思います。そこは私自身の指導力不足もありました。最近の選手たちは力こそ足りませんが、学校内で応援される存在となっている。今のチームで勝つことに意味があると考えています」と話す。指揮官と選手たちの絆は深まっている。
■全員野球で頂点へ
スローガンは「不動心」。今年のチームは、元気とキャプテンシーを備えた林賢杜主将(3年=内野手)が核となっている。キャプテンが攻守に力強いプレーをみせてギアを入れていく。攻撃は、世代屈指のスピードを誇る韋駄天・吉澤咲人(3年=外野手)がリードオフマンとして出塁、高校通算20本塁打の主砲・篠塚大地(3年=捕手)へつなぐ。投手陣は、右オーバーの後藤奨吾(3年)、右サイドハンドの髙山雅人(3年)が最速140キロをマーク。ブルペンでは二人以外の投手も力を伸ばし、投手力は県内屈指。投打のバランスがかみ合えば頂点を狙える選手が揃ってきた。林主将は「個人の能力は伸びているので、組織として戦えるかが鍵。それぞれがチームでの役割を果たす『全員野球』で甲子園へ行きたい」と気持ちを込める。「勝てる組織」へ変貌を遂げるチームは、初の夏甲子園を目指して突き進む。