【千歳丘 野球部】「代替大会への希望」

2019年11月に新校舎が完成。

新たな環境で挑むはずだった夏

2019年11月に新校舎が完成し新たな学校環境となった千歳丘。

チームには新たな活気が生まれていたが…。

2020年7月号掲載
(取材・伊藤寿学)

■ 2年前から部員増でチームに活気

2012年夏の東東京大会(現在は西東京)でダークホースとなるベスト8入りを果たした千歳丘。

世田谷区船橋に校舎を構え、グラウンドも整っている。

だが、2017年から2019年11月まで校舎新築工事が行われ、右中間付近にプレハブ校舎が建てられた関係で練習場が削減。

それに伴い、一時は部員も減少してしまった。

しかし秋本則彦監督、鈴木友崇コーチの声かけによって2018年春に17人が入部、2019年にも10人の1年生が加入。

コロナ禍の2020年春にも15人前後が門を叩く見込み。

数年前、部員減少によって存続が危ぶまれたチームだが、3学年合わせて40人以上の大所帯となる。

■ 学校から愛されるチームへ

選手たちの意識は確実に変わっていた。

秋本監督、鈴木コーチは、グラウンドだけではなく学校生活からの規律を徹底。

学校や仲間から応援されるチームを目指した。

そして、目標を「甲子園出場」に定めて、意識改革を実践した。

秋本監督は「甲子園はまだ遠いかもしれないが、口に出して行動することが大切」と話す。

全国レベルを知るために大阪遠征を実施。

さらに東京で勝つためにフィジカル強化を徹底した。

今年の体力測定会では強豪レベルの数値に近づくなど成果も出始めていた。

春・夏はそれを野球につなげていくことが課題だった。

■ 個性のジグソーパズル

個性あふれる選手たちが集まり出している。

中村友哉(3年=外野手)

チームの軸は、俊足強打の中村友哉(3年=外野手)。

双子の弟は、日体大荏原の主砲・中村心胤(3年)。

違う学校へ進んだ弟に負けじと練習に励む。

原島大和(3年)

エースは、安定感が光る左腕の原島大和(3年)。

身長は168センチと小柄だが、体幹トレーニングによって球速は130キロまでアップ。

多彩な変化球とのコンビネーションで相手打線に狙い球を絞らせない。

佐藤前(3年=外野手)

チームをまとめるのは、佐藤前(3年=外野手)。

佐藤主将は「私学強豪を倒すつもりで練習をしてきた。

チーム全体の意識が変わることで、自分たちの野球ができるようになっている」と手応えを話す。

秋本監督は選手の個性をジグソーパズルのように組み合わせて、チームを作ってきた。

■ 大きく成長した選手たち


2020年夏、チームは勝負をかけるつもりだった。

2018年に入学した3年生たちがこの2年半で経験を積むことで大きく成長した。

新校舎の完成から約半年、いまは新グラウンド整備の工事が始まった。

グラウンド完成は2021年3月の予定となっている。

チームは逆境を力に変えて、最後の夏へ挑むはずだった。

しかし、コロナ禍によって学校が休校となり、練習ができなくなった。

それでも辞める部員はいなかった。

本格的な練習開始は6月下旬以降の見込み。

「甲子園の道がある、ないに関わらず、今、自分たちができることをやろう」(秋本監督)。

指揮官は、LINEやZOOMでミーティングを行い、モチベーションを維持してきた。

選手たちは、都独自大会へ向けて、再び、動き出す。

独自大会は、自分たちの歩んできた道が正しかったことを示す場所になる。


千歳丘高等学校

【学校紹介】
住 所:東京都世田谷区船橋三丁目18-1
創 立:1942年
甲子園:なし
世田谷の閑静な居住区にある都立高校。最寄駅は、小田急・千歳船橋。野球部は2012年夏に東東京大会でベスト8へ進出。2019年秋に新校舎が完成し、新たな環境での学校生活となっている。

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