昨秋都大会ベスト4の実力派。
チームのスローガンは「咲」
昨秋都大会で進撃をみせてベスト4へ進出した城東。
3度目の甲子園を目指した今年のチームは、大きな期待が掛かっていた。
選手たちは、城東のプライドを胸に甲子園なき夏へ挑む。
2020年8月号掲載
■ センセーショナルな快進撃
昨秋の快進撃は、センセーショナルだった。
1999年、2001年夏に2度の甲子園出場を果たした都立名門。
近年では2016年夏に東東京ベスト4、2018年秋ベスト8の実績を残してきた。
私学趨勢の時代の中で、謙虚に野球に取り組んできた選手たち。
2016年には関根智輝(現慶応大)という絶対エースがいたが、今季のチームにスターはいない。
2019年秋は、球速120キロ前後の変幻自在のボールで打者を手玉に取る左腕エース林平太郎(2年)の好投、4番・千野亜真汰(3年=外野手)を軸に、再びトーナメントを駆け上がった。
都大会初戦で日体大荏原を1対0で下すと、明学東村山、錦城学園、共栄学園を撃破し、ベスト4進出を決めた。
準決勝では国士舘に敗れたが、甲子園への希望を感じた秋となった。
■ 選手たちが考える練習メニュー
2017年秋から母校での指揮を執るOB指揮官・内田稔監督は、この学年から指導方針を変えた。
前チームまでは指揮官が考えたメニューを選手に渡していたが、すべてのメニューを選手たちに考えさせて、練習に取り組んだ。
チームをまとめる高橋慈英主将(3年=内野手)は「1週間のメニューを選手たちで考えて、内田監督に提出しています。
自分たちがやりたい練習ができますが、その反面で責任が生じます」と自覚する。
内田監督は「選手たちが練習を決めれば楽しいと思いますし、城東にはそれができる生徒たちが集まっています。うまくいかなければ、その場で選手たちが工夫を加えていくので、集中して練習できるようです。私は見ているだけです」と、内野後方から選手を見守る。
それが昨秋の好成績につながった。
秋4強は、チームに大きな自信を植え付けた。
選手たちは、「個」のレベルアップをテーマに冬トレに臨み、体を大きくした。
春大会へ向けて士気を高めた矢先に、コロナによってすべてが止まった。
選手たちは、自主練習で体力を維持し最後の夏へ備えた。しかし、甲子園中止の悲報が流れた。
今年のチームのスローガンは「咲」。
夏に大輪の花を咲かせるために、選手たちが話し合って、決めた言葉だ。
秋大会打率4割の主砲・千野は「都立で甲子園に行くために城東に入学したので、ショックは大きかったです。
2001年以来の甲子園出場、城東初の甲子園1勝を目指してきて、これからという時に目の前の目標が消えてしまった。
甲子園に返り“咲”くことはできなくなりましたが、代替大会で集大成をみせたいと思います」とバットを握る。
高橋主将は「代替大会でも勝ち上がって、秋の結果が奇跡ではなく実力だということをみせたい」と夏へ向かう。
城東の「甲子園なき夏」が始まる。
城東高等学校
【学校紹介】
住 所:東京都江東区大島3-22-1
創 立:1978年
甲子園:夏2回
江東区に位置する文武両道進学校。野球部は1999年夏に東東京大会を制し初の甲子園出場。2年後の2001年夏に2度目の甲子園出場。近年では2016年夏に東東京ベスト4、2019年秋都大会ベスト4。