選抜優勝のOB、新監督と共に
常葉大菊川が準々決勝・聖隷クリストファー戦でタイブレークの末に敗れた。
今春に就任した石岡諒哉新監督の“夏初陣”は、ベスト8という結果に終わった。
2020年9月号掲載
(取材・伊藤寿学)
■菊川黄金時代を知る指揮官
常葉大菊川は今春に石岡監督体制となった。
OB指揮官となる石岡監督は2007年選抜優勝、夏甲子園4強時の正捕手。
社会人野球を経て母校入り、前年度まではコーチ兼副部長だったが、再建を託される形となった。
4月の就任時からコロナ禍によって自主トレ期間が続いたが、再開後は選手たちに寄り添いながら、代替大会での「静岡制覇」を目指した。
夏初陣となった新生チームは、相良、菊川南陵、藤枝東に快勝。
4回戦ではプロ注目の二俣翔一を擁した磐田東を4対1で勝利し、準々決勝へ駒を進めた。
■左腕エース渡邉優心が好投
聖隷クリストファー戦は、緊迫した投手戦となった。
常葉大菊川は、左腕エース渡邉優心(3年)が先発。
肩口から投げ込む独特のフォームで130キロ台後半の直球を投げ込み、相手打線を抑えていく。
序盤、優勢にゲームを進めていたものの4回までに3併殺と、流れを引き寄せることができなかった。
しかし、積極的に打ちにいくのが、新生・常葉大菊川スタイル。
選手たちは、自分たちの野球を貫いていく。ゲームは4回までスコアレスの展開、5回に1点を先制されたがチームに焦りはなかった。
■タイブレークでのチャレンジ
0対1で最終7回を迎えた常葉大菊川は、後藤維吹(3年)が中越3塁打で出塁すると、神谷建太朗主将(3年=内野手)の犠飛で同点に追いつき、延長タイブレークへ。
相手の攻撃を1点でしのいで、逆転を狙う。
1死1・3塁の場面で、指揮官は、代打岡本朝陽(3年)を打席へ送ったが、無念のダブルプレー。
無死1・2塁から始まるタイブレークで、堅実に走者をバントで送った聖隷クリストファーと、攻撃的スタイルを貫いた常葉大菊川。
その差が結果につながったが、このチャレンジは未来へとつながっていく。
神谷主将は「石岡監督の最初の代で、優勝したかった。この大会は3年生だけで戦うと決めたが、優勝できず申し訳ない気持ち。後輩たちには絶対に甲子園へ行ってほしい」と涙をぬぐった。
流した涙は来夏へ繋がっていく。