プロ注目左腕・髙田擁し堂々四強
準々決勝では静岡に勝利
伝統校・静岡商が今大会を盛り上げた。
準々決勝では148キロ左腕・髙田琢登の好投で静岡に勝利、堂々の四強進出を果たした。
2020年9月号掲載
(取材・栗山司/撮影・山下大輔)
■髙田が静岡相手に熱投
最速148キロ左腕・髙田琢登(3年)の夏は準決勝で幕を閉じた。
中学時代に139キロを叩き出し、全国の強豪校から誘われた逸材。
それでも本人は「父(晋松監督)と同じユニホームで甲子園に行きたい」と、静岡商に入学した。
父子鷹として注目を浴び、1年夏から公式戦のマウンドへ。
2年秋にはチームを東海大会に導いた。
5月20日に甲子園中止が決定。
「父と一緒に甲子園へ」という夢は叶わなかったが、「県でナンバーワンになる」と気持ちを切り替え、高校生活最後の夏に挑んだ。
今大会のクライマックスは準々決勝の静岡戦だった。
静岡商は初回に1番・杉山翔平(3年)の先頭打者本塁打などで3点を先制。
すると髙田はプロ8球団のスカウトが見守る中、この日最速の146キロのストレートを軸に熱投を見せる。
3回と4回に1点ずつ失点したものの、その後は粘りの投球を展開。
7回は最後の打者をセカンドゴロに抑えると、左手で小さくガッツポーズを見せた。
■次のステージへ
翌日の準決勝、髙田はベンチからのスタート。
1対4の5回から登板。
3人できっちりと抑えて流れを呼び戻すと、その裏、静岡商は4番・對馬勇斗(3年)、7番・河村恭佑(3年)のタイムリーなどで一挙4点を奪って逆転に成功した。
しかし直後の5回、「前日の疲れがあった」と球威を欠き、5失点を喫した。6対9で敗退。試合後は言葉を詰まらせながら、2年半を「どの試合も自分が打たれて負けて後悔の多い高校野球だった」と振り返った髙田。
「でも静商に入ってチーム全員でプレーする大事さを学べた。そこに後悔はありません」と続けた。
運命のドラフト会議は10月26日。
「体力作りを含めて、もう一度自分を見つめ直したい」と、さらなる成長を誓った。
■3年生たちが壁を破る
今大会、静岡商の出場選手は全て3年生。
髙田監督はそんな選手たちに感謝の言葉をかける。
「この3年生は甲子園に行きたいと思ってきてくれた子たち。甲子園大会がなくなったとき、私自身は落ち込んでしまいましたが、それでもキャプテンの對馬を中心に選手たちは前を向いて精一杯頑張ろうとしてくれた。彼らには頭が下がります」
夏は一昨年と昨年がベスト8。
そして、今年がベスト4。
髙田監督は「3年生たちが1つの壁を破ってくれた。『静商復活』へのきっかけを作ってくれたのは間違いない。今日見ていた2年生、1年生が次の課題をクリアしてほしい」と、あと一歩先の甲子園への挑戦が続く。