2020夏季静岡大会ベスト4
「甲子園での勝利」が次なる目標
2020夏季静岡大会でライバル・静岡に勝利しベスト4入りした静岡商。
新チームは「原点回帰」で甲子園を目指す。
2020年度10月号掲載
(取材・栗山司)
■守備から鍛える
静岡商は最速148キロ左腕・髙田琢登(3年)を擁し、「2020夏季静岡大会」でベスト4入り。
準々決勝は永遠のライバル・静岡に勝利した。
同大会は3年生のみで戦った静岡商。
新チームはメンバーが総入れ替えとなった。
経験値が浅いチームで中心となるのが主将の小西涼登(2年=内野手)だ。
「3年生からはチーム一丸で戦うことの大切さを学びました。それを受け継いでいきたいです」と抱負を語る。
チームのコンセプトは明確だ。
前チームの髙田のように飛び抜けた能力を持った選手はいない。
ならばと、髙田晋松監督はチームの方向性をこう示す。
「琢登の9奪三振を今度は野手で9つ取る。そのために守備力を鍛えていきたい」。
小西も「琢登さんのような存在がいませんので、守備でカバーしてあげたいです」と口にする。
投手陣の中心は中澤大賀(2年)と小松陸(2年)。ともにリズム良く打たせ、固い守備でアウトを積み重ねる。
一方で攻撃は機動力を絡ませて得点を奪う。
往年の「静商野球」を彷彿とさせるスタイルだ。
髙田監督も「原点回帰するような野球になる」と話す。
■静商らしいチームへ
静岡商野球部は1928年に創部。
甲子園には春夏通算15度出場を誇る。
1952年の選抜優勝時は準々決勝で3連続スクイズ。
1968年夏は準決勝で藤波行雄(元中日)がウエストボールに食らいつきスクイズを成功。
2006年夏の甲子園初戦では大会タイ記録となる1試合9犠打をマーク。
鉄壁な守備の上に、バントを絡ませて得点を奪う野球がお家芸とされてきた。
今秋はそんな古き良き「静商野球」に原点回帰する原点に戻るようなムードが漂っている。
グラウンドでは徹底的に守備力を高める。
マシンシート(ケースバッティング)で守備のフォーメーションを細かく確認。
走者はスキのない走塁で進塁を狙う。
選手同士で厳しい声を掛け合い、一つのミスも許さない雰囲気ができあがっている。
■目標は甲子園で勝つこと
「甲子園での勝利」を目標に掲げるチームは一歩ずつ階段を上がっている。
秋の中部大会は城南静岡、焼津水産を破って県大会出場切符を手にした。
さらに準々決勝では昨秋県王者の藤枝明誠と対戦。
1対1の3回に小西がタイムリーを放って逆転勝ちを飾った。
小西の胸にはあの日の悔しさが未だに刻まれている。
昨秋の東海大会は1年生で唯一スタメン出場。
その初戦、小西はタイムリーを放ったものの、2対11で7回コールド負け。
夢見た甲子園が遠のいた瞬間だった。
「自分しか、その場の雰囲気を味わっている者がいないので、経験したことをチーム全体に伝えていく役目があります」と小西は言う。
2006年夏以来の聖地へ。
まずは、東海大会に出場し、悔し涙を嬉し涙に変える。