【平塚湘風 野球部】「11人で勝つ」#平塚湘風

2年生4人、1年生7人で予選突破

今夏・秋、学校史上初のベスト32進出

少人数の県立校・平塚湘風の野球が面白い。2020年夏独自大会はベスト32、新チームの秋季大会も予選を突破し、本戦出場(32強)を決めた。

2020年12月号掲載

 

■1イニングごとに投手交代

2020年夏の独自大会で、インパクトを残した。県大会では初戦敗退が続いてきた平塚湘風だが、2018年夏は藤嶺藤沢に0対2で惜敗、2019年秋は平塚学園に1対3と、僅差のゲームを演じ、進化の胎動を予感させた。

そして今夏は、進化を結果で示してみせた。チームは2回戦で横浜栄を撃破、3回戦では柏木学園に延長タイブレークで5対4で勝利した。4回戦の相手は相洋となったが、平塚湘風は1イニングごとに投手を代える奇策で応戦。初回に6失点したが、その後は1投手が1イニングをしっかりと投げ抜き、5回までは「0」を並べた。

結果的には0対7の7回コールド負けとなったが、堂々たる戦いをみせた。今秋も小田原、足柄を下して予選を突破し、県大会へ出場してみせた。

 

■秋季大会は日大に7対8

秋季県大会初戦の相手は、私学強豪の日大。

どんな戦いをみせるか注目だったが、私学相手に一歩も引かないゲームを演じていく。3回表までに4点を先制されたが、江藤慎平(1年=内野手)の2ランなどで応戦すると、8回には4点を加えて7対6とリード。「金星」の可能性が高まったが、最終回に2失点して逆転負け。大きな手応えをつかみながらも、競り負けた。

特筆すべきは、多くの部員を抱える日大に対して、平塚湘風は2年生4人、1年生7人の11人で戦ったこと。着任8年目の森山純一監督は「少ない人数でも勝負できることを、選手たちに教えたかった。勝つことはできなかったが、生徒たちから多くを学ばせてもらった」と目を細めた。

 

■少人数チームのモデルへ

新チームの部員数は11だが、エース磯部隼人主将(2年=投手)をはじめ、攻守のセンスあふれる山本藍乃助(2年=内野手)、体重96キロの1年生スラッガー江藤ら、個性の光る選手が揃う。

少人数のため練習では、全員が全ポジションを経験し、ユーティリティー性を高める。打撃練習の密度が濃いのも少人数ならでは。選手たちは、奇策を実践すべく、大技、小技の鍛錬を積む。そこには、野球の魅力がつまっている。

森山監督は「一人ひとりの練習量が多い分、成長が加速している。小さなチームが、強豪を倒す方法をみんなで考えていく。公立高校は人数が少ないチームが増えている中で、野球は『9人いればできる』ことを広めていきたい。少人数チームのモデルケースが作れればと思っている」と熱を込める。

平塚湘風の戦いは、高校野球の未来を照らす。

 

 

 

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