パワーとスピードを融合
ベスト8の壁突破し頂点
高校野球激戦区・藤沢エリアで存在感を示す藤沢翔陵。パワーとスピードを融合させるチームは、機動力を生かした勇敢なプレーで神奈川の頂点を狙う。
■あきらめない野球
あきらめない野球は、チームにしっかりと根付いている。
2018年の南神奈川大会では2回戦でシード日大藤沢と対戦し8回まで3対5とリードを許したが9回に執念で3点を奪い、這い上がった。その夏はベスト8へ進出するなど、チームの存在感を示した。粘り強く戦うチームは2013年から2018年夏の神奈川県大会(2018年は南神奈川大会)で6年連続5回戦以上へ進出した。 さらに2019年春から2020年夏までの4大会(2020年春は中止)ではすべて4回戦へ進出している。敗れた相手は横浜、横浜商大、日大藤沢など。相手を考えれば決して悪くない結果だが、チームが上を目指す以上、満足することはできない。
2009年から指揮を執る元プロのOB指揮官・川俣浩明監督は「勝負所の試合で勝ちきれないのは力が足りないから。そこは日常生活から見直していかなければいけない」と話す。人間的な成長の先に、技術の進化がある。
■果敢に次の塁を狙う
現在のチームは2年生25人、1年生15人。際立った力を持つ選手はいないが、チームとして戦える強さがある。練習場では、川俣監督のチームビジョンに沿って竹田和樹部長らコーチ陣が選手の長所を伸ばしていく。東海大相模出身の竹田部長は「個人ではなくチームとして戦うためにチームプレーの形を作らなければいけない。川俣監督のイメージを形にするのがコーチ陣の役割です」と指導に熱を注ぐ。川俣監督が目指す野球は、機動力を絡めた「走り勝つ野球」。選手たちは果敢に次の塁を狙う野球を実践していく。
今年のチームは、最速135キロのエース橘海斗(2年)が安定しているだけに失点は計算できる。実戦経験豊富な橘は「心をコントロールする力をつけて、チームのために投げ抜きたい」とトレーニングに励む。少ないチャンスで得点が奪えれば勝機は広がる。
■走攻守のレベルアップ
2020年の秋季大会は2回戦で湘南学院を6対3で下して3回戦へ駒を進めた。
準々決勝進出をかけて公立強豪の白山と対戦。3回表に福富大地(2年=外野手)のタイムリーで1点を先制したが、3、4、8回に失点して1対5で9回へ。9回に2点を返して粘ったものの、あと一本が出ずに3対5でゲームを終えた。主砲の今井諒真(2年=捕手)は「白山戦では自分が4番の役割を果たすことができなかった」と悔やむ。秋の敗戦を糧にチームは意識改革を徹底。走攻守のレベルを上げるべく、実戦練習を繰り返す。漆原剣心主将(2年=外野手)は「この冬は打撃と走塁に力を入れてきました。
チームが目指す『走り勝つ野球』を表現して春、夏に結果を残したいと思います」と力を込める。藤沢翔陵は、勇敢な走塁でベスト8の壁を突き破る。選手たちは、神奈川のトーナメントを翔け上がっていく。
2年生